科学はたのしい@板倉聖宣の発想

 30年あたり前から仲間たちと協力して、板倉聖宣先生(たのしい教育研究所 初期から支援者/仮説実験授業研究会初代代表/元文科省教育研究所室長/元日本科学史学会会長)が語ったものを文字起こししたり、ガリ本など手に入る紙媒体をデジタル化して分類保存する作業をはじめました。
 ザラ紙を筆頭に劣化が激しくなってきます。デジタル化しておくと、半永久的に保存できるだけでなく、場所をとらないということ、検索が瞬時にできるということ、大量の資料をどんどんながめることができることなど、そのアイディアは今でも〈すばらしい発想と行動だった〉と思っています。

 今回はデジタル化した資料を元に〈たのしい教育メールマガジン〉の初期に紹介したものから、切り取ってみましょう。

 板倉先生が1991年2月3日、愛知県での講演「女性のための科学」というタイトルで語った中から、個人情報や、特定の誰が傷つく可能性がある内容を避けて〈いっきゅう文責〉として掲載します。

板倉
 10年前くらいに、子どもの教育に関心があるお母さん方の前でお話をしたことがあります。

 今日も比較的そういう方がおおいのではないでしょうか。

 そういう方々の中に「私はいまさら科学に強くならないくていい。でも子ども達はこれから科学の時代に生きるのだから科学に強くなってほしい」という感じの人が多いのが、私は気になります。

 それは「私は人参が嫌いだけれど、子どもには人参を食べて欲しい」というのと同じですね(笑)。

「ちょっと食べてみなさいよ、私は嫌いだけど…」とか「私は嫌いになっちゃったんだけど、あんたは食べたらどう?」と軽く言うならいいけど、あんまり強くいったらおかしいでしょ。

 だって「それならお母さんだって人参食べてよ」ってなりますからね。

 お母さんたちが「私は今さら科学なんて勉強したくない」というとき、その理由は2つあります。

「今からじゃもう遅い」という事。
 もう一つは「もともと科学なんておもしろくないものだから、だからイヤだ」という事。

 これは後ろの方が大部分ですね。

 しかし実は「お母さんはもう年だから科学は勉強できない」というのも言い訳で、「科学なんてあんなにイヤなものはない。やっと学校を出て、それを勉強しなくてすんだ」と思っているようです。

 そのイヤな科学をを子どもには押し付ける。私は「自分がイヤな事を子どもにやらせる」という事は推奨致しません。

 科学は嫌いというお母さんが「子どもには科学を好きになって欲しい」と考えるのは「科学が出世の手段、儲けの手段」だからと考えている事になりますね。
 私はそうではなく、科学という者はとてもたのしいものだから子ども達に伝えたいのです。

① 毎日1回の〈いいね〉クリックで「たの研」がもっと元気になる!⬅︎応援クリック

② たのしい教育を本格的に学ぶ〈たのしい教育メールマガジン-週刊有料を購読しませんか! たのしい教育の実践方法から発想法、映画の章ほか充実した内容です。講座・教材等の割引もあります(紹介サイトが開きます)

③ 受講費、教材費、スーパーバイズなどの費用は全て、たくさんの方達へのたのしい教育の普及、ひとり親家庭など困窮した方たちへの支援に利用されています

⭐️ 「いいね」と思った方は〈SNSや口コミ〉でぜひこのサイトを広げ、応援してください!

心動かされないさんぽはない/たのしい花さんぽ〈ゴールデンブッシュ/ゴールデンキャンドル〉@植物で自由研究

 目的地があって歩いている時でさえ「お、面白い」と立ち止まることがあるくらいです、目的地なくのんびり散歩していて心動かされないことはありません。

 ウォーキングしていても特に心動かされることはない、といった知人がいました。でもその人は、運動のために時間を決めて歩いているわけで、それは私がいうさんぽとは違うものだと思います。

 みなさんには心動かされるさんぽをおすすめします。

 先週は雨続きの日々でした、とはいえ時間によっては晴れ間もあります。傘を手に、たのしい花さんぽをしました。

 あるいていると、まずこの花に心惹かれました。

 雨が降るか降らないかという空模様なのに、その花の周りが明るく輝いてみえたからです。これまでもどこかで目に入っていたのでしょう、でもこの天気だから離れている場所からも、より目立ったのだと思います。

 おもしろい花です。

 調べてみと、和名ゴールデンキャンドル、別名キャンドルブッシュ・ハネセンナ、学名は Senna alata.でした。たしかに台にのったキャンドルたちに似ています。

 形状的なものだけでなく、もしかするとその色で周りが輝いたように見えるから、というのも名前の由来になっているかもしれません。

 葉は肉厚で、羽状複葉(うじょう ふくよう):一枚の鳥の羽のような形状です。

 タネもできていました。
 立派なサヤができています、マメファミリー(マメ科)ですね。

 とすると、マメファミリーの花の特徴で〈蝶〉の形をしているわけだ…  と探そうとした時にパッと雨が降り出して、帰途につきました。

 雨模様の日もたのしい時間を過ごすことができました。

 この花の別名「ゴールデンブッシュ/Candle bush」のブッシュは〈低木・茂み〉という意味で、大きな木になる種類ではないということです。

 私がみたのは2mくらいはありました、これくらいが限界なのでしょう。

 随分前に大ヒットした「ブッシュマン」という映画がありました、そのブッシュも低木性の植物たちを意味します。
 カラハリ砂漠に暮らすネイティブの暮らしを面白おかしく描いた作品で、欧米・日本を含む人々の傲慢さ感じさせる作品でした。確かにそこに巨木はなく、あっても低木ですから、そこに暮らす人々だという意味でブッシュマンと呼ばれてきたのでしょう。

 たのしいさんぽをすると、身体だけでなく頭もよく動くよあになります。

① 毎日1回の〈いいね〉クリックで「たの研」がもっと元気になる!⬅︎応援クリック

② たのしい教育を本格的に学ぶ〈たのしい教育メールマガジン-週刊有料を購読しませんか! たのしい教育の実践方法から発想法、映画の章ほか充実した内容です。講座・教材等の割引もあります(紹介サイトが開きます)

③ 受講費、教材費、スーパーバイズなどの費用は全て、たくさんの方達へのたのしい教育の普及、ひとり親家庭など困窮した方たちへの支援に利用されています

⭐️ 「いいね」と思った方は〈SNSや口コミ〉でぜひこのサイトを広げ、応援してください!

おすすめ天気予報ツール Windy(ウィンディ)利用のすすめ

 沖縄に台風が接近しています、「直撃コースらしい」と語っている人もいたので気になって調べてみました。

 〈たの研〉はイベントものも多いので、天気情報、特に台風の進路情報はとても気になります。そうでなくても最近の台風被害は大きい感じがしていて、どこに向かうにしろ気になります。

 みなさんはそういう気象情報を何から得ていますか?

 テレビ・ラジオ、ネット情報でしょう。新聞で台風情報を仕入れています、という人もいました。わたし的には、週刊誌で台風情報を仕入れるくらいのタイムラグを感じてしまいます。

〈たの研〉はチェコの企業が運営しているリアルタイムの天気予報サービス「ウィンディ/Windy.com〉を利用しています、無料で利用できます。

 台風の進路予測でも天気予測でも世界一信頼度が高いといわれているのが〈ECMWF:ヨーロッパ中期予報センター〉で、以下アメリカ、ドイツ、スイスなどの気象予測が続きます。windyはそれらの気象予測を一つひとつみていくのではなく、合成して色と数字や図をアニメーション化して見せてくれます。

 今週末沖縄を直撃すると言われていた台風をwindyでチェックしてみましょう(チェックは2日前の9/12木曜)。日本のニュースに出ている進路予測とは違って、台風の目が奄美大島~鹿児島のあたりにずれています。おそらくwindyの予測の通りに動くでしょう、該当地区の方たちに大きな被害がでませんように。

2024-09-14(土)20:00の予測

 そのまま1週間の天気をチェックして驚きました。来週09/18(水)にも台風が来ることを予測しています。これは09/18(水)11:00あたりの予報図です、まるで今週の台風予測図と見間違ってしまうくらいです。

 1週間後の予測なので、これからいろいろな気象条件の動きでずれていくことは十分予想できます。とはいえ、来週の半ばに出かけて行く時は、天気はよくないだろう、傘が必要になるだろう、ということもわかるでしょう。
 こうやってチェクすることになれておくと、これからいろいろ役立っていくと思います。

 ウィンディ/Windy みなさんも利用してみませんか。

① 毎日1回の〈いいね〉クリックで「たの研」がもっと元気になる!⬅︎応援クリック

② たのしい教育を本格的に学ぶ〈たのしい教育メールマガジン-週刊有料を購読しませんか! たのしい教育の実践方法から発想法、映画の章ほか充実した内容です。講座・教材等の割引もあります(紹介サイトが開きます)

③ 受講費、教材費、スーパーバイズなどの費用は全て、たくさんの方達へのたのしい教育の普及、ひとり親家庭など困窮した方たちへの支援に利用されています

⭐️ 「いいね」と思った方は〈SNSや口コミ〉でぜひこのサイトを広げ、応援してください!

またぞろ〈右脳ブーム〉がやってきそう/たのしい教育メールマガジンより

 メルマガに利き腕と逆の手を動かすメリットについて書いた時、今から40年くらい前の「右脳ブーム」のことに触れました。同じように血液型生活分類、誕生日占い、速読(高速リーディング)、マイナスイオン、水は言葉がわかるといった、科学的に根拠のないものがブームになっては去っていきました。
 それに振り回された人たちが一線から去って、それをよく知らない人たちが社会に増えてきたころ、またそのブームが復活してきます。

 最近観た「チコちゃんに叱られる」で、右脳を鍛えることで天才になる、といった主張が紹介されていて、「あ~、右脳ブームが復活を見せてきたか」と心配になりました。

 1980年代に、人間に利き手があるように〈利き脳〉があって、右脳が利き脳の人はこれに優れ、左脳が利き脳の人は次の能力が優れているという話が流行しました。そういう流れがどんどん加速して「創造性を生むのは右脳だから、成功するためには右脳を鍛える必要がある」という理屈で脳トレをはじめとして爆発的なブームになりました。

曰く
●右脳
タイプの人が得意なもの
ひらめき

直感
創造性

芸術性

空間的
イメージ
記憶
全体を見る力

同時的情報処理

図形を読みとる

●左脳タイプの人が得意なもの

話す

書く

分析力

論理的・
科学的思考

推論

言語認識
数学理解力
計算

ブームの頃は《右脳派・左脳派診断》といった心理テストが溢れていて、いくつかの質問に答えると「あなたは左脳派で、金融マンや弁護士に向いています」とか「あなたは右脳派で、ミュージシャンやイラストレーターに向いています」といったキャリア教育的な診断も下されていました、今では笑い話に思えることでしょう。

 その後、右脳ブームはどうなっていったか?

 結局、右脳・左脳に基づく性格や能力の大きな違いを示す証拠は見つかっていません。「脳のどちらかが優位である」という考え方自体が現代の神経科学では否定されています。
 次に示すように、もともと右脳ブームを作った人は脳科学者ではなくエンジニアで、その後、脳の研究者たちによって「脳はそんな単純化して断定できるものではなく、利き腕のような意味での明確な〈利き脳〉があるとは考えられない。脳は左右が結びついて(協力して)機能している」という主張するようになって、ブームは去っていきました。

 日本で利き脳ブーム、右脳ブームが起こったのは、1981年に出版されたT.R.ブレークスリー著『右脳革命』であることがわかっています。
 その後日本人の著者による右脳革命の著書がどんどん出版されていきました。

 加速していったそのブームも今ではほとんど聞かなくなりました。

〈右脳・左脳タイプ分類はウソだった! 俗説が広まる55年の歴史https://re-sta.jp/article/6661/〉から校正・引用しましょう。

(『右脳革命』の)著者T.R.ブレークスリーは脳科学者ではなくデジタル電話や自動車誘導システムのエンジニアです。エンジニアが分離脳研究の一部を自分流に解釈して、右脳の優位性を説いたのがこの本です。
脳研究の専門家ではない分、わかりやすく書き著しているので一般の読者に受け入れられました。
 けれど、歯切れのよい表現を用いることが、科学者であったら決してしないような断定的な表現や、飛躍した誇張的な表現につながってしまいました。
「頭脳単一論は間違いである」「右脳には言葉で表現できない特有の思考形態がある」といった断定的な表現は、分離脳研究の科学情報を歪めてしまうものだったのです。

 これからやってくるだろう、「右脳タイプ・左脳タイプ分類」や「右脳を鍛えることですばらしい力が手に入る的な主張」に振り回されないくらい私たちの社会は成長してきたでしょうか、少し心配しています。

 チコちゃんの番組では、これから一ヶ月、右利きの芸人さんに〈左手生活をして右脳を鍛えてもらう〉ことで天才的な才能を手にいれるという実験をすると話していました。きっと一ヶ月後、その芸人さんは「あれができるようになった、これもできるようになった」と喜んで報告することでしょう。でもそのことと、左手生活をして右脳を鍛えると天才になる、ということとは別です。今まで使っていなかった部分に刺激を与えることは、脳全体のポテンシャルを高めるでしょう。そういうことが、ハッキリとらえられる人たちを増やしていきたいと思います。

① 毎日1回の〈いいね〉クリックで「たの研」がもっと元気になる!⬅︎応援クリック

② たのしい教育を本格的に学ぶ〈たのしい教育メールマガジン-週刊有料を購読しませんか! たのしい教育の実践方法から発想法、映画の章ほか充実した内容です。講座・教材等の割引もあります(紹介サイトが開きます)

③ 受講費、教材費、スーパーバイズなどの費用は全て、たくさんの方達へのたのしい教育の普及、ひとり親家庭など困窮した方たちへの支援に利用されています

⭐️ 「いいね」と思った方は〈SNSや口コミ〉でぜひこのサイトを広げ、応援してください!