楽しい教育は先にやるか、あとに取っておくか?/たのしい教育メールマガジンのすすめ

 メルマガ最新号の発想法の章で紹介した内容にさっそく反響が届いています。たのしい教育ははじめでやるか、あとの方に取っておくかという話です。

 〈たの研/たのしい教育研究所〉の応援団として力を貸してくださった板倉聖宣先生の講演内容から少し紹介しましょう。2002年08月、群馬水上温泉で開催された入門講座で語られた一節です。出典に「たのしい授業で変わる学級・学校・社会」というメモがありました、そのガリ本からコピーしたものを伊良波さんがサークルで紹介してくれたのだと思います。

板倉

 『たのしい授業』紙上で一時大きな話題になったことがあるのですが「たのしい授業はとっておきにしておいた方がいいのか」ということがありました。
 これは例えばものを食べる時に、美味しいものを後にとっておく人と、美味しいものを一番初めに食べてしまう人と2種類のタイプがあったりしますけれども、美味しいものは腹一杯になってから食べでも、あまり美味しくなくなっちゃったりします。
 そんなのは好き好きでやっていいわけですが、こと授業に関して、つまり「たのしい授業を後にやるか先にやるか」ということに関しては、かなり実験結果が出ております。
「たのしい授業は初めにやった方がいい。後にとっておかなくてもいい」
 これが結論です。

 あと17日で4月、学校では新しい子どもたちの出会いの月です。子どもたちをたくさんたのしませてあげてください。

 このサイトにも授業のヒントをいろいろ書いているのですけど、メルマガには、具体的な方法を具体的に紹介しています。新しい出会いに向けて、みなさんも購読しませんか?

 教師以外の読者も増えています、人生の見方・考え方としてもお役に立てる内容です。また、たのしい教育の普及に対する応援の意味でもかなり強い力になっています。

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私たちが〈人間は決して変わり得ない〉という考え方に立てば死刑も認める/平野啓一郎『ある男』より

 読者の方から質問が来ました。中学生か高校生かと思うのですけどはっきり確認しているわけではありません。〈たの研/たのしい教育研究所〉にくる質問の中では異質だったのですけど、私の中にあることが浮かんだので紹介したいと思います。

「死刑制度についてどう思いますか」というのが、その問いでした。

〈賛成ですか、反対ですか〉ではなく「どう思うか」です。

 読者の皆さんの中には、死刑制度に賛成の立場の人もいるでしょう、反対の立場もいるでしょう。

 それぞれの立場の人たちの考えを聞いても、それぞれ相手を納得させるだけの理屈があります、「それは違うでしょう」と簡単にいえるような軽いものではありません。

「相手の命を否定するような人間は自らの命が否定されても文句は言えないかもしれない」という武者小路実篤の『真理先生』の中に出てくる理屈は死刑制度ともつながるでしょう。

 冒頭の言葉は平野啓一郎原作の映画「ある男」の中に出てくるセリフです。そしてそれは「しかし私たちは人間は変わりうるという立場に立っています」とつながります。
 この考えを簡単に否定できるでしょうか?

 こうやって考えていくと「人によって意見は異なる」という結論から先にすすめそうもありません。

「何が真理か、それは仮説実験的な認識によってのみ明らかになる」というのが、〈たの研〉の認識論です。ちなみに設立当時からうちの応援団を担ってくださった板倉聖宣先生(日本科学学会元会長/仮説実験授業研究会初代代表)が明らかにした認識論です。

 死刑制度の良し悪しも仮説実験的認識論で明らかになるのだろうか?

 ふとそう考えてみたのです。

 〈何が真理か〉という時には科学的な真理をテーマにしています。制度・法律は約束事だから科学的な真理とは違う、仮説実験的認識論で扱うものではないという考えもあるかもしれません。しかし自然科学だけでなく「社会的な科学」もあります。たとえば人口変動はこうなるというような予測は科学的に明らかにできますし、需要と供給の関係も法則的にはっきりしています。
 権力は腐敗する、というのも社会的な科学といってよいかもしれません。現在の日本のシステムではなく、厳格なる三権分立は、その抑制に役立つというのも法則的なものだと思います。

 死刑がある社会が人々の幸福を保証する方向に向かうのか、そうではないのか?

 それは社会的な科学の問題として明らかにできないでしょうか。

 とはいえ、それは簡単な問題ではありません。
 たとえば「戦争がどんどん起こる世界と、戦争のない世界は、明らかに戦争が起こらない世界が幸せだ」と言えそうですけど、片や監視社会でがんじがらめとなって、人々から選択肢がなくなっていくような社会、普通なことつまり平均的な行為からはずれる人たちはどんどん刑務所に入れられていくような社会であったら、戦争はなくても幸せとは言えないでしょう。

 死刑制度がある社会と死刑制度がない社会のどちからが多くの人々の幸せに近いのか、どうやって確かめていったらよいのでしょう?

 死刑制度のある国とない国との比較でしょうか。
 簡単に死刑が実施されていた時代の日本と、今の日本との比較でしょうか。

 簡単に答えがみつかるとは思えないのですけど、予想を立てて調べていくことのみが真理にたどりつくことは間違いありません。

 思考停止してしまうことより、問題意識をもって考えていくことの方が、遥かに素晴らしいことです。

 そういう中で、きっと死刑制度の是非がはっきりしてくるでしょう。
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楽しい環境教育〈ゴミと資源〉吉村先生から教えられたこと/たのしい実験の日々

 かつて吉村七郎先生を沖縄の講座に招いたことがありました。吉村先生は環境教育にかなり古くから力を入れていて、環境保護に関わる著作物がたくさんあります。

 以前から〈たの研〉でも『たのしい環境教育/楽しいSDGs』で講座を開催したり、その授業プランを提供したりしていました。

 〈たの研〉の『たのしい環境教育』は

《増やして減らしてエコロジカル

というシンプルなキャッチフレーズで、何年も前からすすめています。
実際、いろいろな方達から好評を得ています。

 子どもたちや家庭でたのしく環境教育を進めるためには『緑を増やしゴミを減らしてエコロジカル』です。
 企業などではたとえば『樹木を増やし電力を減らしてエコロジカル』です。

 楽しいワークショップを開催することができますから、興味のある方はお問い合わせください。

 さて《緑を増やしゴミを減らしてエコロジカル》をたのしく試せるのが、生ごみで肥料を作り、それで緑を育てることです。

 ネット上にはいろいろな方法が載っているのですけど、子どもたちがシンプルにたのしめるものがペットボトルで肥料づくりです。

 以前書いたようにネット上にはコタツ記事・張り合わせ記事に満ちています。自分で実験せずに、ネット情報を鵜呑みにしてまとめた記事もあるのですけど、自分で試して、ネット上と違う結果、たとえば「けっこう時間がかかった」のに、ネット上に〈短時間でこうなります〉とあったら、自分もそう書いたりすることもあるでしょう。それも結局、張り合わせ記事です。

 〈たの研/たのしい教育研究所〉が信頼されているのは、自分たちで実験し、しかもその後、いろいろな先生たちが子どもたちと実験して、ほぼ同じ結果が出た時にプログラムなどを発表しているからです。

 今回は私のアイディアに合わせてA先生が、、キャベツの芯やトマトの痛んだ部分、コーヒーを作ったあとの粉などを利用して、肥料(堆肥)をつくる実験をはじめてくれました。

 シャカシャカシェイクするとこうなりました。

 実際にちゃんとした肥料が出来上がるのか、どれくらいの日数かかるのか。
 困ることはどんなことか、など、いろいろ調べて、メルマガやこのサイトで発表したいと思います、おたのしみに。

 
 講座の時に評価の高かった『〈たの研〉の増やして減らしてエコロジカル』をいろいろな人たちに広げていきたいと考えています。

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④可能な方は気軽におたより、記事内の予想などを⬇︎





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〈やりがい〉とは〈楽しさ〉のこと

 このサイトの記事を書こうと座った時、ついていたTV番組で沖縄県庁の職場環境について取り上げていて、仕事を辞める人たちがあとをたたないと話していました。職場の声をリアルに拾ってくれていて、やりがいについて、〈封筒のハンコ押し〉を延々させられていて、「自分のやることがこれなのか」と疑問を感じたというような声もありました。
「いろいろな式に出かけて行って、◯◯長代読だれだれ、と読みに行くのって意味がありますか? (本人は行かないのに)それに費やす時間と労力はどれだけ大きいことか・・・。その分どれだけ別の仕事に費やせるでしょう」という声もありました。
 私も学校にいて、入学式や卒業式、運動会etc. でまさにその代読をたくさん聞いてきて、聴かされる側としても似たことを感じていました。

「県庁の廊下が暗い、トイレはもっと暗い、気分が滅入る人もいるだろうなぁ」といった声なども出て、辛い気持ちになると同時に、こういう声を直球でとりあげる番組が出てきたことにホッとする気持ちも感じていました。

 教育現場の声もこういう感じで拾ってほしいものだ!

 たの研に学びに来る先生たちに「教師って、子どもたちの笑顔と向き合える、とてもいい仕事だ」と語り続け、笑顔と賢さを生む具体的な教材プログラムも伝えているのだけど、たとえば卒業生たちが初任研で自分の個性・キャラクターを生かした取り組みができず、はめられた型枠の中でつらい思いをしていないか、心配になることがあります。

「まずは子どもたちが教師の言う通り動くようになって、おもしろい授業をやることです。でないと子どもたちはわがままになって教師の指示を聞かなくなるから」といわれましたというのも耳にしました。

 それは明らかに、たのしい教育の実験結果と異なっていて事実は逆なのですけど、まだまだ明治期の教育を良しとする先生たちは多いのです。

 たとえばそういう教育を図書館でやったら、子どもたちは本が好きになって自発的に本を読むようになってくれるのでしょうか?

 パン屋さんはそういう意識で、たとえばお客の食べる姿勢とか栄養のバランスを整えてから、それができるようになったら美味しいものを売るのでしょうか?

 そんなパン屋は潰れるでしょう。

 働きがいは楽しさそのものです。

 その仕事が楽しいと感じるのはどんな場合かを探していけば、答えは自ずとみつかります。

 〈たの研〉を創ってからはっきりしたのは「笑顔が増えることと可能性が高まること」はセットだということです。

 教師なら、子どもたちの笑顔と可能性が高まることがセットです。すると教師の可能性も高まっている。
 子ども達の点数が高くなるけれど笑顔は増えないということなら、明治期の教師が語るように「まずは子どもたちが教師の言う通り動くようになってから・・・」という教育をしているのでしょう。

 行政の仕事も、そのサービスを提供した相手の笑顔が見える仕組みを作ることが大切です。同時に提供する自分の可能性も高まる、もちろん笑顔の相手も、たとえばパスポートを手にして留学への一つのステップを手にしたということ、その可能性も一歩進んだわけです。

 やりがいのある職場が増えていく、それは楽しい職場が増えていくことです。具体的なアイディァがほしいかたは、お問い合わせください。教育部門に限らず、いろいろなスーパーバイズが可能です。

 考えてみるとメルマガの読者の皆さんの中には教師以外の方たちが何人もいます。たのしい教育のものの見方考え方が教師でない自分の仕事・暮らしに役立っているということなのだと思います。希望の方はまず一年、購読してみませんか。

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