二十四節気では「寒露(かんろ)」の頃です、しっかり夜が長くなってきました。昼間を避ければ、沖縄でも涼しい風を感じはじめる頃になりました。読者の皆さんからとどく「野山さんぽが読みたいです」という声に、今回はお答えしたいと思います。

秋が近づいて、夏のまばゆい光はやわらぎ、木々の緑も少しずつ深い色に変わってきました。
足もとの影もやさしく長くのびています。
朝いちばん、沖縄でもひんやりとした風を感じます。
深呼吸をすると胸の奥まですっと澄んでいくようです。
夕方になれば、西の空がほんのり色づいて、一日の終わりをそっと知らせてくれます。
みなさんも涼風(すずかぜ)を探して、朝夕に歩いてみませんか。
昼の時間なら水辺近くがおすすめです。
さらさらと水の流れる音を聞きながら歩いていると、不思議と暑さも和らぎます。
木陰に入れば、すっと涼風が頬をなでていきます。
川面をわたってくる風は、街なかの風とはどこか違って、水と草のにおいを運んできてくれます。
水辺は生き物たちのにぎわう場所でもあります、蝶やトンボ、バッタ、カエルに出会えるかもしれません。ひらひらと舞う蝶を目で追いかけたり、草の先にとまるトンボとにらめっこしたり、足もとをぴょんと跳ねたバッタに「おっ」と声が出たり、歩くたびに小さな出会いが待っています。
そっと水の中をのぞいてみると、小さな魚たちが光を受けてきらりと泳いでいます。流れにさからってじっとしている魚、石かげにすっと隠れる魚、水面にゆれる木もれ日と遊んでいるような魚たち、しばらく眺めていると、時間がゆっくり流れていくのを感じます。
足を止めて目をとじれば、鳥の声や虫の音、葉のそよぐ音が聞こえてきます。
ふだん聞きのがしている音が、ひとつ、またひとつと、重なって耳にとどきます。「あの声はどんな鳥だろう」と想像するだけでも、散歩はぐっとたのしくなります。
歩く時間は、ほんの三十分でも十分です。急がず、競わず、立ち止まりたくなったところで立ち止まる、それが野山さんぽのいちばんのおすすめです。
いつもの道も、ゆっくり歩くだけで「こんな世界があったんだ」と気づかせてくれます。
忙(せわ)しい時、落ち着かない時はたのしめそうもない、そう思うかもしれません。
いえいえそんな時にもおすすめですよ、不思議ですけど本当です。
頭の中がいっぱいでも、かまいません。
歩きはじめて十分もすると、足の運びと呼吸がだんだんそろってきます。
水の音を聞き、風に頬をなでられているうちに、なんとなく気分がよくなってくると思います。
これはこれは忙しい日々の夕方、野山さんぽの続きで、次の企画・構想を練っていて、ついつい時間が長くなっていた時のこと…
道に何やら黒っぽいものが見えました。
カメは詳しくないのですけど、ミナミイシガメでしょう。

構想していた内容は忘れて、カメさんと戯れてしまいました。
野山さんぽ、海辺さんぽで心動かされにないまま終わることは皆無です。
帰り道には、行きとは違う空気をまとっている自分に気づくはずです。
さんぽの時、みなさんが心動かされた写真をぜひ送ってくれると嬉しいです。
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