最新メルマガで反響の大きかった一つ「板倉聖宣先生が語った〈日本人の地震学者で素晴らしい人物 金森博雄(かなもり ひろお)の話」と、よく耳にする言葉なのに知っているようで知らない人も多い〈マグニチュード〉の話をお届けします。
前回に続けて、最新メルマガの〈発想法の章〉のはじめのところを紹介します。
伊良波さんが送ってくれた資料にあった、
仮説会館で2011.04.22に行われた「授業書総合読本開発研究会」で
板倉先生の話です。
🟣すばらしい地震学者がいる
板倉
この日曜日に「発想法講座」があります。
それをめざして原稿を一つまとめちゃおうと思っています。
〈地震学〉の話です。
「日本の地震学者は特に原発の問題なんかで、とんでもない間違いを犯した。しかし日本の地震学者には、注目すべき人物がいる」
そんな話をかなり丁寧に書こうと思っています。
教育論と関係しています。
その調査をしているうちに「地震学で一番いい仕事をしたのはだれか」ということがわかってきました。
金森博雄(1936-)という人物です。いっきゅう補註:wikipediaに感謝して引用
日本の地震学者・地球科学者。カリフォルニア工科大学名誉教授、東京大学理学博士。父は第1次吉田内閣の憲法担当国務大臣、国立国会図書館初代館長の金森徳次郎、兄は経済評論家の金森久雄。
wikipediaここまで板倉
地震による災害はどこの国でもずっと防げませんでした。
実際、1800年代から1900年代にかけて地震による災害は減っていません。
ところが金森さんは「これからは被害が減る」というんです、普通そこまでいえる人はいないでしょう。
どういうことか?
今は「緊急地震速報」が出るようになりましたね、あれです。
携帯電話なんかで、主要な揺れが来る前に知らせてくれます、「リアルタイム地震学」といいます。
インターネットは地震より速いんです。
地震は予知できないけれど、地震が起こったらすぐに知らせるという対策です。 それによって被害を減らせるんです。
いっきゅう補註
地震にはP波(初期微動)とS波(主要動)があります。P波がその名の通り「微動」といってよいか個人的に異議があるところですけど、基本的に主要動であるS波より被害が少ない波であることは間違いありません。そしてその主要な波より先に私たちの元にやってきます。
金森先生は、はじめに来るP波をキャッチした時点ですぐにインターネット他で知らせるという方法を提唱しました。
地震の速さは秒速数kmです。それに対して地震を知らせるインターネットやスマホ、放送などの電気信号は原理的に〈光に近い速さ:秒速 約30万km〉で伝わります。「主要な揺れが来る前に知らせる」ことができるわけです。板倉
それをアメリカで研究し、すすめていたのが金森さんです。
金森さんは東大にいたんだけどアメリカに行ってしまいました、日本の頭脳流出の一つですね。
また「巨大地震学」という分野を創始しました。
「巨大地震」というのは普通の地震とは違うんです、単なる程度の違いではなく〈質的に全然違う〉ということを発見したんです。 この前の地震のとき気象庁はマグニチュードの数字を3回変えたでしょ。
最終的には「モーメントマグニチュード」に変えました、その「モーメントマグニチュード」という概念を提唱したのも金森さんです。これもアメリカでやった研究です。
いっきゅう補註
2mと3mの違いも12mと13mの違いも同じ〈1m〉です。金額(円)、長さ(m)や重さ(g)など、私たちの普通の暮らしで使う数量は、同じ量が均等に増えたり減ったりするのでイメージしやすくなっています。
それに対して〈地震の揺れ〉は発生する個々の差がとても大きいので〈10倍、100倍〉という「対数尺度」で表します。〈マグニチュード6〉と〈マグニチュード7〉の大きさは振れ幅で10倍、発生するエネルギーで32倍の差があります。マグニチュードが2増えると〈振れ幅100倍〉〈発生するエネルギーで1000倍〉の違いがあります。
このマグニチュードというのは何を基準にしているかというと〈地震波のゆれ(振幅)〉です。
ところが振幅を使って表す従来のマグニチュードでは地震がどれほど巨大になってもマグニチュードの数字がそれ以上大きくならない「飽和」が起こってしまうことを金森さんが明らかにしました。つまりこれまでのマグニチュードという単位では巨大地震の規模を正確に表せなくなってしまうわけです。
そこで1977年に金森さんが提唱したのが〈モーメントマグニチュード(Mw)〉です。
従来のマグニチュードは〈地震波の振幅〉から求めるのに対して、モーメントマグニチュードは岩石の硬さを考慮して〈断層がどれくらいの面積で、どれくらいずれ動いたか〉をもとに計算します。すると巨大地震の規模も適切に表せるようになります。
つまり金森さんは巨大地震そのものを科学的に解明する地震学を発展させ、さらに地震発生後のデータを素早く解析して被害を減らすシステムを提唱した人物です。
板倉
この前の東北大地震の時、気象庁ははじめ小さい数値を出していましたね。
「地震計が振り切れるぐらい巨大な地震がある」という概念がないからです。
金森さんのいうことを聞いていれば、その時、違う結果を発表できたんです。
日本にいる地震学者は、あんな巨大な地震が起こるとは考えていなかったんです。
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