一つの情報で判断しないことは〈ものの見方・考え方〉の基本

 『すべてはFになる』という小説でデビューした森博嗣(もり ひろし)さんという作家がいます。本人は仕事も作家業も引退したと語っているので、作家と呼ばない方がよいかもしれません。

 ミステリーフィル(ミステリー作品を愛するもの)の個人的感想として、森さんの小説には心動かされるところがぜんぜんないので、前述の作品のあと一冊読んで離れました。けれど森さんの〈ものの見方考え方〉は実におもしろく、おそらく全て読んでいます。

 その中のどれで読んだのか定かでないのだけど、森さんの「デザインはde-sign、〈de:捨てる、sign:見える〉が語源である。無駄な物を排除して浮かび上がってくるもの、鮮明になってくるものがデザインである」という説明に「なるほどいろいろ注ぎ足すのではなく、削ぎ落としていくのがデザインなのか」と感動してメモしてありました。

 久しぶりにそのメモをみたので、このサイトでさっそく紹介しようと思って、ChatGPTやいくつかのサイトで複層チェックしてみたらびっくり。

森博嗣さんの引用にある「デザイン」の語源に関する説明、「de-sign(de:捨てる、sign:見える)」という解釈は、非常に興味深いものですが、語源的に厳密な事実ではありません。

実際の語源

「デザイン(design)」の語源は、ラテン語の**「designare」**で、これは「計画する」「指し示す」「描く」といった意味を持つ言葉です。ラテン語の「de-」は「完全に」とか「方向」を示す接頭辞であり、「signare」は「印をつける」「記号化する」ことを意味します。したがって、「designare」は「何かを指し示す」「目的に向かって形を決める」といった意味になります。

 他のサイトでみていくと…

「デザイン」とはもともとラテン語の「designare(デジナーレ)」という言葉からきています。 デッサンと同じ意味を持ちます。 言葉の意味を見てみると「ある問題を解決するために思考、概念の組み立てを行い、それを様々な媒体に応じて表現すること」と記されています。

 

「デザイン」(design)はラテン語の「デシグナーレ」(designare)からきています。
これは「示すこと」(to designate)と「描くこと」(to draw)の両方の意味を持つと言われています。
英語では「design」という名詞がこの2つの意味を持っているということです。
これに従って日本語で意味を考えると、「示すこと」(to designate)= 意図、計画、目標。「描くこと」(to draw)= 描画、モデル、スケッチ。

など、開いたものはすべてChatGPTの説を裏付けるものばかりでした。

 私が感動してメモしたものを、ここにそのまま書いたら、私の紹介した森さんの見方・考え方に感動した人が、周りの人たちに広げたことでしょう。

 みなさんも、「これはおもしろい」と感じたことはたくさんあると思います。

 それを周りの人たちに伝える時には、複層チェックしてみてください。それが正しいようだと思えた時点で広めるようにしましょう。
 ものの見方考え方の基本中の基本です。

 とはいえ、森さんの発想は個人的におもしろいと思っています。デザインには、そういう側面も間違いなくあるでしよう。削ぎ落として削ぎ落として出来上がる優れたデザインもたくさんあると思います。

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科学はたのしい@板倉聖宣の発想

 30年あたり前から仲間たちと協力して、板倉聖宣先生(たのしい教育研究所 初期から支援者/仮説実験授業研究会初代代表/元文科省教育研究所室長/元日本科学史学会会長)が語ったものを文字起こししたり、ガリ本など手に入る紙媒体をデジタル化して分類保存する作業をはじめました。
 ザラ紙を筆頭に劣化が激しくなってきます。デジタル化しておくと、半永久的に保存できるだけでなく、場所をとらないということ、検索が瞬時にできるということ、大量の資料をどんどんながめることができることなど、そのアイディアは今でも〈すばらしい発想と行動だった〉と思っています。

 今回はデジタル化した資料を元に〈たのしい教育メールマガジン〉の初期に紹介したものから、切り取ってみましょう。

 板倉先生が1991年2月3日、愛知県での講演「女性のための科学」というタイトルで語った中から、個人情報や、特定の誰が傷つく可能性がある内容を避けて〈いっきゅう文責〉として掲載します。

板倉
 10年前くらいに、子どもの教育に関心があるお母さん方の前でお話をしたことがあります。

 今日も比較的そういう方がおおいのではないでしょうか。

 そういう方々の中に「私はいまさら科学に強くならないくていい。でも子ども達はこれから科学の時代に生きるのだから科学に強くなってほしい」という感じの人が多いのが、私は気になります。

 それは「私は人参が嫌いだけれど、子どもには人参を食べて欲しい」というのと同じですね(笑)。

「ちょっと食べてみなさいよ、私は嫌いだけど…」とか「私は嫌いになっちゃったんだけど、あんたは食べたらどう?」と軽く言うならいいけど、あんまり強くいったらおかしいでしょ。

 だって「それならお母さんだって人参食べてよ」ってなりますからね。

 お母さんたちが「私は今さら科学なんて勉強したくない」というとき、その理由は2つあります。

「今からじゃもう遅い」という事。
 もう一つは「もともと科学なんておもしろくないものだから、だからイヤだ」という事。

 これは後ろの方が大部分ですね。

 しかし実は「お母さんはもう年だから科学は勉強できない」というのも言い訳で、「科学なんてあんなにイヤなものはない。やっと学校を出て、それを勉強しなくてすんだ」と思っているようです。

 そのイヤな科学をを子どもには押し付ける。私は「自分がイヤな事を子どもにやらせる」という事は推奨致しません。

 科学は嫌いというお母さんが「子どもには科学を好きになって欲しい」と考えるのは「科学が出世の手段、儲けの手段」だからと考えている事になりますね。
 私はそうではなく、科学という者はとてもたのしいものだから子ども達に伝えたいのです。

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たのしい教育の発想法-日垣隆の方法から〈四分割マッピング〉

 メルマガで日垣隆さんの『折れそうな心の鍛え方/幻冬社 ※廃版』を紹介しました。日垣さん自身がウツ病と診断されるだろう状況に陥り、医者や薬に頼らずどのように脱していった方法を具体的にまとめた著書です。著作権の関係で、本文ではなく目次を中心に取り上げました。

 PEALカウンセラーからみて乱暴な方法だと思える内容もありつつ、共感できる部分もあります。

 読者の方から「図書館になかったので古本を探したら見つかったので注文しました」という知らせも入りました。

 別な方から

「迷ったら縦軸・横軸の四分割で考えるとうまくいく」というのはどういうことですか? 

という質問もありました。

 ポジショニングマップとかマトリックス思考法とか、いろいろな呼び方がついている、縦横2つの軸にそれぞれの尺度を設定して分類する方法です。

 これはどういうモバイル製品を開発するかについての検討会で、市場大手の製品を〈デザイン性(縦軸)と重量(横軸)〉で四分割したポジショニングマップです。

 

 こういう客観的な評価を心理的な面で論理的に評価しようというのが、日垣さんのさっきの話です。ただしそれは日垣さんが気づいたというわけではありません。

 日垣さんのエピソードをかいつまむとこうです。

 自分は飛行機に乗るたびに「落ちませんように」と祈ってしまう癖があったが、あるとき思い立ってマッピングをしてみた。
 縦軸は「祈る⇔祈らない」、横軸は「落ちる⇔落ちない」
すると、ゾーン1(上右)は「祈って落ちない」
ゾーン2(上左)は「祈らなくて落ちない」
ゾーン3(下右)は「祈って落ちる」
ゾーン4(下左)は「祈らなくて落ちる」となる。
パターンはこの四つしかない。
 見ると、祈ることと落ちることはそれぞれ独立していること、祈ろうが祈るまいが落ちる確率は同じだということに気がつき、笑ってしまった。
 以来、私は飛行機に乗っても祈らなくなった。

 日垣さんの提案は、深い悩みや倦怠感にとらわれているとき、衝撃を受けたときは「ごく当たり前のこと」ができなくなり事態を悪化させることもおこるから、このマッピング方法を覚えておくと、イザというとき強い味方になる、というものです。

 ある目標を縦軸、今の仕事を辞める辞めないを横軸に描いて整理してみる。
 こどもの賢さ(学力)を縦軸、苦しい・たのしいを横軸に描いて整理する。

 それを描くうちに頭の中が客観的に整理される、そういうことは期待できるでしょう。

 子どもたちにも、伝えることができそうです。

 

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前のめりになるのは遊びやゲームばかりではない/たのしい教育の哲学

 手元に一枚の写真があります。後ろの子どもたちは顔がハッキリみえるのでカットしているのですけど、前にいる子どもたちの表情から、どれだけのめり込んでいるかがわかると思います。

 ある問題にみんなで予想を立てて、どうしてそう思うのか、考えを出し合ってから「じゃあ実験してみよう、近くで確かめたい人は体を低くして後ろからも見えるようにしてね」と先生が語る。するとみんながどど~っと前によってきて、くい入るようにそれを見つめている…
 いい写真だと思います。

この写真から個人の特定は難しだろうということで、〈たの研〉の情報保護規定上セーフという担当判断でしたので掲載

 勉強というものはもともと辛いもので、それに耐えて頑張り続けていくのが当たり前だ、という考えがあります。

 もともと「勉強」という言葉自体が「強(し)いて力を尽くす、努力する」という意味ですから、辛いことでもがんばらなくてはいけない、ということでできた言葉です。

 そうではなく、たのしいから学ぶ。
 もっとこういうことを学びたいと考えるようになる。
 そうしていくうちに自分の力が伸びていく。
 そういう「たのしい教育」があるんです。

 たのしい教育研究所には、いろいろな教科で使えるプログラム、授業参観でおすすめのプログラム、学校行事でたのしむプログラム、児童館、保育園、学童.いろいろな処で利用できるプログラムがたくさんあります。

 こどもたちの可能性をたのしく伸ばしたい、たのしく学力を高めたい、こどもたちとたのしい関係をつくりたい、たのしいクラスをつくりたい、そういう方は気軽にお問い合わせください。

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