楽しいブックレビュー『きりかぶのきりじいちゃんときりばあちゃん』なかやみわ(小学館)@ひな

 久しぶりに〈ひな先生〉から絵本の紹介が届きました、紹介します。   〈『きりかぶのきりじいちゃんときりばあちゃん』なかやみわ作(小学館) 1320円 です。

 表紙のうれしそうなきりかぶのおじいちゃんとおばあちゃん、周りのやさしそうな動物たちをみているとほっこりしてきます。
としをとってきりかぶになったきりじいちゃんは、ある日じぶんと同じきりかぶをみつけました。きりばあちゃんです。
きりじいちゃんはうれしくて「おーい! こんにちはー! きこえますかー?」と大きな声できりばあちゃんに向かってさけびました。ところがよく聞こえないので「だれかわたしをよびましたかー?」というきりばあちゃん。

「いつからきりかぶになったのですかー?」
「えー? なんですかー? よくきこえませーん!」
・・・
おしゃべりしたいのに、よくきこえないのでもさけびながら話しいるうちにへとへとになってしまいました。

それをみていたこりすが伝言役を引きうけることになりました。
その伝言がまたとてもおもしろくて、
きりじいちゃんが「いつきりかぶになったのですか? まいにちどうしてますか」
と伝言を頼んだら
こりすからきりばあちゃんに届いたのは
「いつ、どうしてますか? きりかぶとまいにちすごしますか?」
となってしまいました(^^
こんどは、4匹のこねずみたちが伝言を伝えていきますが、一匹伝えるごとに変わっていきへんてこりんなでんごんになってしまいました。
こりすもこねずみもいっしょうけんめいがんばってくれてほんとにやさしいんです。
それから
それをみていたうさぎのきょうだいが、はさみとかみとテープをもってくると何かを作り始めました。なんだと思いますか。


いとでんわです。

よく聞こえるようになったので、いろいろな話をたくさんできるようになりとてもうれしそうです。
きりじいちゃんが
「そらのいろって おひさまがかおをだしてしずむまでに いろんないろをしているんですね」というと
きりばあちゃんも
「そらって とてもひろかったんですね!『き』だったころは そらのいろや そらがおおきいだなんて わたしもきがつきませんでした」
と、これまでみていなかったしぜんにも気がつきます。豊かな時間ですね。
そして
あそびにきてくれるかわいいなかまがいることや、いとでんわでおしゃべりもできて
「としをとって きりかぶになったけど
   いまがいちばん しあわせなのかも しれませんね」
というラストまで心やさしくなるおすすめの絵本です。
今を大切に、今がしあわせだとおもえる日々を過ごしていくってすてきだなと思います。

私もいとでんわ作ってみました。
おともだちと、家族と、いとでんわでしゃべってみるとたのしいですよ。
あなたもつくってみませんか。

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実験すればわかるのにあまり実験しないこと/お札・お守りは効果があるのか? 占いは正確か? etc.

 知人から、最近のお守りは「健康安全」とかいうのではなく「心臓病に効くお守り」とか「高脂血症に効くお守り」etc. 病気の症状に合わせたものも出てきているのだという話を聞きました。

 それが本当だとしたら、すごいことになってきたと思います。そのうち「右の顔面神経痛に効く」とか「左の肺の病気に効く」というお守りも出てくるかもしれません。

 病気の治療に関しては「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(旧・薬事法、現在は「医薬品医療機器等法(薬機法)」があって、効果・効能を偽った製品の販売や宣伝は違法になります。

 お守りは医薬品ではないから、それに縛られないというのでしょうか。

 最近ではやっと「霊感商法の被害者の方はご相談ください」という弁護士グループサイトも目にするようになりました。一時期の「消費者金融に多額の利子を支払った人たちのお金を取り返す」という活動が盛んになったように、今度は霊感商法のようなスピリチャル系にお金を支払った人たちのお金を取り返そうという活動が盛んになってくるかもしれません。

 そうなってくると「お守りは別だ」とか「1000円くらいだから被害を訴える人は出ない」とたかをくくってはいられない状況も出てくるでしょう、時間がかかるとはいえ、この流れは予想を立ててしっかり見ていく必要があると思います。

 とはいえ、こういうものにだまされない人を増やしていくのも教育を基本にしなくてはいけません。

 福沢諭吉の自伝「福翁自伝」には「庶民が信じていた神仏やお札の霊験は本当にあるのか」という実験をしたことが書かれています。

 諭吉は神社のお札を踏むとバチがあたるのか、という予想をして「実験」しました、もちろん諭吉はバチは当たらないと予想していたからそういう実験をしたわけです。たしか前半にあったと思います、興味のある方は調べてみてください。

 結局、特に変わったことは何も起こらりませんでした。

 諭吉はそこで終わらず、さらにひどい実験をします、下品な実験なので興味のある方は読んでみてください。

 もちろん何もおこりませんでした。

 お守りが効くのかどうかは、福沢諭吉のように実験してみるとわかるのですけど、なかなかそうする人はありません。
 ちなみに私いっきゅうは、その頃大ブームだった超能力の実験を1日かけてやったことがあります。念力では米粒より小さな紙切れ一つ動かすことはできませんでした。念力で1日かけてがんばっても0.1mmすら動かない紙切れは、小さなため息くらいの空気の力で飛んでいってしまいました。案の定、その後、スプーン曲げのインチキや、念力、念視のインチキは、いろいろな人たちが暴露し、マジシャンたちが似たような現象を見せて種明かしもしてくれました。そのきっかけとなったイギリス人はもともとマジシャンだったというオチもついていました。

 私のように自分の実験結果とそういう暴露話が加わると、その後、そういうことから騙されない人も出てきます。けれどほとんどの人たちは、なんとなくテレビ番組から流される情報や雑誌などの記事にふれるので「本当らしい」と考え続けることになるのでしよう。

 吉田兼好というお坊さんは徒然草91段にこういうことを書いています。
「赤舌日(しゃくぜちにち)という日があって、この日にあったことは最後には成就しない、その日に語ったことや、行った行為はかなえられず、得た物は失い、企ては失敗するという、なんて馬鹿なことをいうんだ。
吉日でも悪事を働けば凶、忌み日でも良いことをするには常に吉だ」と言い切っています。

吉田兼好・卜部兼好 横浜金沢観光協会のサイトに感謝を込めて参照

 そういう科学的・論理的な思考を広げていきたいものです。

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楽しい英語・たのしくEnglish/ジャック・モノー著『偶然と必然』の英文の提供がありました

 前に大学生からメールが来た時の記事で「いつか時間ができたらジャック・モノーの『偶然と必然』をわかりやすく訳したい」と書いたところ、英文の画像が数枚送られてきました。

 びっくりしました、これも〈アクセス1000台〉の力の一つだと思います、ありがとうございます。

 これが初めの部分です。

 その方曰く「モノーはフランス人なので、フランス語を学んでいないと難しいでしょう」、私は勝手に原書は英文だと思っていました、すみません。

 さて、英文を訳し直すと、私が読んだ訳本よりわかりやすくなる気がしています。

 英文を書き出してみました。

Of Strange Objects
〈the natural and the artificial〉
THE DIFFERENCE between artificial and natural objects seems immediately and unambiguously apparent to all of us.
A rock, a mountain, a river, or a cloud—these are natural objects; a knife, a handkerchief, a car—so many artificial objects, artifacts.*
Analyze these artificial judgments, however, and it will be seen that they are neither immediate nor strictly objective.
We know that the knife was man-made for a use its maker visualized beforehand.

 前回の〈前から訳して全体を把握する〉という訳し方に興味をもってくれている方もいるので、今回もその方式でいきましょう。見慣れた映画の脚本を訳するのと違って、わからない単語もいろいろ出てくるので、その場合はweb上の辞書を利用します。

「はじめから全体をwebに訳してもらえばいい」と考える人もいるでしょう。でもそれでは楽しい英語/英文の楽しみを味わう時間になりません。

Of Strange Objects(奇妙な物質)
〈the natural and the artificial〉(自然のモノと人工的なモノ)

THE DIFFERENCE (違いというモノ)between artificial and natural objects(人工物と自然の物質の間の) seems immediately(瞬時に見えてくる) and unambiguously apparent (曖昧さなくハッキリ見えてくる)to all of us(私たちみんなに).

A rock, a mountain, a river, or a cloud(岩、山、川あるいは雲)—these are natural objects(それらは自然の物質です); a knife, a handkerchief, a car(ナイフ、ハンカチ、車)—so many artificial objects, artifacts(人間の手によって作られた物質たち、人工物).
*Analyze these artificial judgments(人工物について分析すると), however(しかしながら), and it will be seen that they are neither immediate nor strictly objective(それらはすぐにそしてハッキリとわかってくるわけではない).
We know(私たちは知っている) that the knife was man-made(ナイフは人間によって作られた) for a use(私たちのために) its maker visualized(作る人が頭の中で視覚化したもの) beforehand(前もって).

「何だ、当たり前のことを言っているじゃないか」と思うかもしれません。
その後もノーは「実は人工物と自然の物質を見分けるのは簡単ではない」という話をします。

 生物の進化は〈突然変異という偶然〉と〈物理法則という必然〉の組み合わせで出来上がっているのであって、そこに想像主つまり「神」などの意図は存在しないという話をする前段として「自然物と人工物の違いを見分けるのは簡単ではないぞ」とはじめたジャック・モノーの『偶然と必然/みすず書房』、またゆっくり味わいたいものです。

https://amzn.to/3DQazlQ

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確かにあるのに見えない感じない@楽しい教育の発想法

 心理学とか行動学で〈認知バイアス〉と呼ばれている作用があります。ご存知の方もいるでしょう。思い込みとか偏見と訳されることが多いと思います。

 自分の思考・認識の中であまりにも当たり前なことなので、その存在に疑問をもたない、それが〈認知バイアス〉です。

 アメリカの作家デヴィッド・フォスター・ウォレスが大学の卒業式のお祝いスピーチで語った、私が好きなエピソードも〈認知バイアス〉の一つだといってよいでしょう。
 20年くらい前かな、その年のベストスピーチに選ばれたというので話題になっていたので、web上で読んで学校で子どもたちに紹介したことがありました。

 記憶で記すので正確には違いがあるかもしれません、詳しく知りたい方は「作家デヴィッド・フォスター・ウォレス 大学 スピーチ」で検索してみてください。

 私が授業で使った展開の一つを紹介します、利用したい方はどうぞ。
 ちなみに〈たのしい教育研究所〉を設立後、それをまとめて授業プログラムにしました。いずれ発表したいものの一つです。

2匹の子どもの魚がスイスイ泳いでいると、大人の魚に出逢います。

あいさつをすると、大人の魚がこういいました。

「どうだい、今日の水の具合は?」

しばらくして、子どもの魚たちは、お互いの顔を見合わせてこう問いかけます。
「え、水って何?」

 私たちがプールや海に入る時は「水」を意識するのが当たり前です。

 でも生まれた時からずっと水の中にいる魚たちは、まったく当たり前の世界としてそれを感じていくので、水が何なのかわからない・・・
 自分の周りのほとんどが水だから水が見えない。

 では私たち人間は?

 生まれた時から空気の中で過ごし続けているので、空気を感じないことが多いですよね。

 魚たちには水が見えない。
 私たちはには空気が見えない、似ています。

 水の世界の外にいる私たちには水が見える。

 ここで考えてみてください。

 地球の外に出たら空気は見えるんでしょうか?

 予想してみてください・・・

 そういう流れで地球という星を外からながめていくプログラムです。

NASAに感謝して掲載

 最近、オキナワウラジロガシがほしいというので問い合わせがありました。「こういう授業プログラムが欲しい」という要望に応えられるシステムを作っていこうと思います。

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