アドラー心理学の野田俊作先生から学んだこと〈非主張的な自己主張〉

 先日、沖縄でアドラー心理学を学んで独立したという方と話をしたことがあります。アドラー心理学といってもいろいろなものが登場しているのだと実感したと同時に、その方が野田先生の名前を知らなかったことに驚きました。

 アドラー心理学のカウンセリングを学びに大阪の野田俊作先生(日本に本格的なアドラー心理学をー持ち込んだ医師でカウンセリングの達人)の元に通った日々は、今のPEALカウンセリングの基本を形作った大切な時期であると同時に、野田先生に可愛がってもらったことは忘れられません。

 カウンセラー養成講座で鍛えてもらったことに加えて、夜一緒に出かけ、人間観、カウンセリング観、チベット仏教の話など、たくさんのことを学ばせてもらいました。もちろん原子論者(まっとうな科学者)の私は、チベット仏教の教えについて興味はないのだけど、アウトドアの先駆者として尊敬している河口慧海和尚の『チベット旅行記』に出てくる話を元に、かなり話し込んだものです。

 野田先生はカウンセリング技法だけでなく、親が子どもとどう付き合っていくか、というテーマについても力をいれていました。「子どもが成長していく過程で、自己主張するっていうことは良いことだと考える人が多いけど、マイナス的な自己主張もある。〈非主張的な自己主張〉➡︎〈攻撃的な自己主張〉➡︎〈復讐的な自己主張〉という流れ。そういくのではなく、子どもたちには上手な自己主張を学んでもらおう」という話をはじめて聞いた時には、何のことだかわからなかったのだけど、アドラー心理学全体に流れるコミニュケーション理論を学んでいくうちに、その大切さも理解できるようになりました。

 親子関係で私に相談しにくる方たちに、時々その時の野田先生の話をすることもあります。

 野田先生の著書『続アドラー心理学 トーキングセミナー』から取り出してみましょう。私がはじめに聞いた時、何のことだ? と感じた〈非主張的な自己主張〉について。

 

②非主張的な自己主張
 第二は「非主張的」なやり方です。

 それは、相手が傷つくことを恐れて、あるいは相手に傷つけられることを恐れて自分の要求を口に出さないでいるという、引っ込み思案な態度です。

 このような態度をとる人も多く見受けられます。

言いたいことはある、してほしいことはあるけれども、それを言うと相手が傷つくのではないか、あるいはその反応として、相手から攻撃が返ってきて自分が傷つくのではないか、そのようなことを恐れて、結局要求を言わずじまいで終わるということです。
 この態度はあまり望ましい態度ではありません。
 なるほど人間関係のトラブルは避けられるかもしれませんけれども、私の望んでいたことが相手に伝わらないわけですから、最終的にやはり誤解されたままで終わるということになる可能性があります。
 われわれには自分の要求を口に出して言わない権利があります。しかしながら、その時にはいくつかの責任を引き受けなければなりません。

 自分の要求を口に出して言わない権利を主張すると、相手にもまた要求を口に出して言わない権利を認めるという責任を引き受けなければなりません。

また、これが問題なんですが、相手に誤解されてしまうという責任を引き受けなければなりません。

 こちらが伝えなかったわけですから、相手が誤解したとしても、それはこちらの責任です。
 非主張的な態度、自分の要求をはっきり口に出して
言わない態度は、結局、対人関係をその場はうまく繕
うかもしれないけれども、長い目で見るとこじらせて
大きな要因になります。

 続アドラー心理学 トーキングセミナー p135

 クラスには必ずといってよいほど、何人かこういうタイプの子がいました。たのしい教育プログラムをしていくと、そういう子どもたちも、自分の考えを伝えることができるようになってきます。

 対人関係的なことも、たのしい教育とのセットでうまくいく。

 いずれその話も書いてみようと思います。

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〈たの研〉合格SV 実りの季節/たのしく力ある先生たちがどんどん広がっていく

 とても嬉しい連絡が入りました。
〈たの研/たのしい教育研究所〉の教員試験合格スーパーバイズを受講し、その頃、今よりずっと難関だった教員採用試験を突破しみごと合格。子どもたちと楽しく過ごしてきたT先生からです。

「教頭試験に合格しました、〈たの研〉で学ばせていただいた成果です」
 

 T先生は数年、臨時教諭として働きつつ試験に挑戦してきたのですけど、〈たの研〉の合格SVでその才能がどんどん開花し、二次の模擬授業も抜群の力を示していました。
 こういう人物を採用しないのは沖縄県の損失だと思えるような先生でした。

 T先生はその後たのしく子どもたちと過ごし、いよいよ今度は、先生たちと校長先生をサポートする役割を担います。
 そこでもバランス感のよい、たのしい動きをしてくれることでしょう。
 子どもたちの笑顔と賢さが広がる、たのしい教育の思想と方法をいろいろな人たちに伝えていって欲しいです、とてもたのしみです。

 考えてみると、このあとも〈たの研〉で学んだ人たちが続々と管理職や主事になっていく人たちも出てくるでしょう。

 力あるたのしい先生たちを学校現場に送る〈合格SV〉の活動は、すばらしい成果をあげ、ほぼ全員が合格しています(不明の方数名)。
 その活動は一区切りつけ、次の段階にすすんでいるところとはいえ、〈たの研〉の関係者から「この人を管理職に」ということがあれば、また専門チームを結集させることも可能です。
 たのしい教育に共感し、講座などを積極的に受講している方たちも対象です。
 気軽にご相談ください。

 この秋冬には、先生、保護者の方たち対象の『子どもたちと一緒に伸びるPEAL心理学プログラム4回コース』を開催予定です。管理職を目指す方たちも、まずそれを受講することをおすすめします。面接や論文などで発する言葉の中に、他の受験生と違う切れる輝きが生まれることでしょう。
 もしかして、学校で家庭で子どもたちと思ったような関係をつくることができないで苦しんでいる人たちも、参加して、それを明るく突破していく方法を手にしてください。
 応援しています。

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「子どもたちがもっと集中してくれる授業をしたい」 ある先生からの相談/楽しい教師教育

〈たの研〉にはいろいろな相談がやってきます。先日「夏の暑さが増したころから、子どもたちが授業に集中しなくなってきて、暑さがおさまってきた今でも続いている」という話がありました。

 理由が何か、つまり夏の暑さが理由なのかどうかをはっきりさせる必要はなく、そういうテーマで時間を割く必要はなく、子どもたちが集中してくれる授業は可能です。

 いろいろなバリエーションがあるとはいえ、わたしのスーパーバイズ(SV)の起点はこの二つが中心です。

🟢 今の自分の授業をバージョンアップする気持ちがあるか

🟢 子どもたちに自分の授業の評価を書いてもらう勇気があるか

 その意思が確認できたら〈教育観〉のベクトル・方向性を合わせる必要があります。スーパーバイザーと来談者が違う方向を向いて知恵を出していてもうまくいきません。ところがSVにしろカウンセリングにしろ、来談者の目標と違う方向ですすめていくスーパーバイザー、カウンセラーは少なくありません。
 〈たの研/たのしい教育研究所〉のSV・カウンセリングは違います。

具体的には、これまでの授業方法を尋ねながら、次のことを確認します。

🟡 規律を優先した指導でいくか、子どもたちの知的好奇心をゆさぶる内容を優先するか。具体的には「◯◯すべきである」を優先するか、「子どもたちが喜んでくれる内容」を優先するか

 多くの教師は「両方大事です」と答えるのですけど、「それはもしかすると、これまでそういう意識ですすめてきたということですね」⇨「同じベクトル・方向性をこれから続けていくとすると、子どもたちも同じ方向、集中しない方向にすすんでいくのではないでしょうか?」
と問いかけると、深く考えてくれます。

🟡 心配しないでください、〈規律はどうでもよい〉といっているのではありません。規律を強化することに今よりさらに時間をかけていくのではなく、それはそのまま程度にして、子どもたちが身を乗り出して聞いてくれる授業を導入することに時間を割いてみる、ということです

 という提案に、多くの先生たちはうなづいてくれるでしょう。

すると方法は何100通りもでてきます。

 〈たの研〉のSV・カウンセリングがうまくすすむのは、このことが大きいでしょう。

 冬あたりには、PEALカウンセリング講座を開催したいと考えています。すでにPEALカウンセラーの資格を手にしている方たちも、ブラッシュアップとして参加してみてください。カウンセラー資格更新にもプラスになります。

 

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楽しい英語/翻訳アプリやA.I.があるから勉強の必要はないの?(読者の方からの質問に答えて)

 英語の話への反応が上々です、関西に住んでいる高校生からもたよりが届きました。このサイトは日本ブログランキングに評価してもらってい「生涯学習」「教師教育」「理科教育」でほぼ1位の記録を更新しています。こうやって綴っているうちに沖縄から全国レベルのブログに成長していったことは、とても嬉しいことです。

 高校生からのたよりは「もっと今回のような記事を書いてほしい」ということでした、記憶優先型の授業に疲れているのかもしれません。

 英語のたのしさの扉が開いたら、間違いなく記憶のポテンシャルも高くなります。たのしさの向きにすすんで行ってほしいと思います。

 高校生からのたよりを読んでいる時に、以前とどいたメールを思い出していました。学生の方なのか一般の方なのかわからないのですけど、それは

「これだけアプリが発達したのだから、外国語を学ぶ必要ない」という考えてについてどう思いますか?

 という趣旨の内容でした。

 皆さんはどう思うでしょう、自分はどちらに近いか選んでみてください。

 ア.その通り

 イ.それは違うと思う

 ウ.場合による

 エ.その他

 どうしてそう考えましたか?

 

 ⇩   ⇩   予想してからね   ⇩   ⇩

 キャリアの幅が広がる、仕事の選択肢が広がるというようなこともあるでしょう。けれど、そういうことではなく、別の視点で考えてみたいと思います。

 以前書いたかもしれません、私は空手の師範免状を持っています、武道を例に考えてみましょう。

 汗を流してお金を出して空手を学ばなくても、ボディーガードを雇えば自分が相手を倒さなくてもよいし、ボディーガードをつければ家族や友人を、自分で守る必要もない。

 その通りです。

 ボディーガードを雇うと、メリットも大きいでしょう。何しろ自分で行き届かないところにまで目がとどきます。

 では、自分で空手を学ぶことは意味がないのでしょうか?

 いいえ、そうではないでしょう。

🟢 何しろ自分の身体能力可能性が高まっていくことはたのしい

🟢 次々新しいチャレンジが出てきてワクワクする

🟢 怖さに向かっていくスリルとサスペンスもけっこういい

 ことは空手を学び続けている多くの人たちが感じていることで、それはボディーガードを雇っても絶対に得ることができないことです。

 それだけではありません。

 ボディーガードは24時間はりついてくれることはありません(そんなことをされると実に迷惑です。父親が娘を24時間守るためにそばに張り付いているようなものです)。
 自分自身が空手の力を高めておくことは、そういう時にも大切です。

🟢 あの人たちはどうも危険なにおいがする、とか、この方向に進むと危険な気がするという感覚は自分の技・感覚を高めていくことで高まっていきます

🟢 こういう行動をとると安全だというセンスも高まっていきます

 ボディーガードに指示されて「この道はダメです、ここを曲がってください」と命じられてながら行動していてはいつまでも高まらないでしょう。

🟢ボディーガードの動きは、自分が考えたことと一致するわけではありません。自分が感じたことをボディーガードが感じているわけでもありません。そこにはロスタイムが必ず生じます。またボディーガードでは気づけないこともあります。たとえば「以前この男にお金をせびられたことがある」という記憶などもボディーガードは持ち合わせていませんから、自分の危機感・危機予測が伝わらないこともたくさんあるでしょう

🟢何しろ自分の力が高まっていくわけですから、いちいちボディーガードを依頼する必要もありません。お金や食事などを提供する必要も、働き方改革のために一定期間ごとにお休みを与える必要もありません

ほかにもいろいろ考えられるのですけど、これくらいにしておきましょう。

 これらを「英語は翻訳アプリで十分だ」という考えと対応させると、同じことが言えるでしょう。

「それは強引だ」と思うでしょうか?

 たとえば、🟢ボディーガードの動きは、自分が考えたことと一致するわけではありません。自分が感じたことをボディーガードが感じているわけでもありません。そこにはロスタイムが必ず生じます。またボディーガードでは気づけないこともあります。たとえば「以前この男にお金をせびられたことがある」という記憶などもボディーガードは持ち合わせていませんから、自分の危機感・危機予測が伝わらないこともたくさんあるでしょう

という項目で考えてみましょう。

 前回私が出した、 I see the man with a telescope. には

「私は望遠鏡を持っている男を見ている」
だけでなく
「私は望遠鏡で、その男の人を見ている」
という意味も導くことができる、という話は、英語の翻訳サイトでは出てこない答えです。
 文章というのは、こういう解釈になる、というようなものがほとんどです。翻訳サイトでは、どっちの訳も成り立つというような答えをしてくれません。こう訳す場合が多いだろう、というものを表示します。

 DeepLやGoogle翻訳などの有名な翻訳サイトで訳してもらったらわかるでしょう。

 いつも翻訳アプリに頼るのではなく、その訳に疑問を持つことができるのは、自分自身で学んでいった基礎があるからです。

 自分で「これは二つの意味が生じる」と解釈して丁寧に調べていく。
 A.I.にも確認すると、「確かに二つの意味が生じる」ということで理解していくわけです。
 翻訳サイトやアプリなどに頼るのもよいでしょう。でも自分の力を高めていくことは、無駄なことではありません。

 他にもメリットはあります。
 英語を学ぶことで、自分の脳のいろいろな部分も刺激を受け、その能力が高まっていくことでしょう。

 はじめの「翻訳アプリやA.I.があるから勉強の必要はないの?」という問いに戻りましょう。

 〈たの研/たのしい教育研究所〉はその問いに「必要ありです。ただし、たのしく学ぶことができるなら!」と力強く答えたいと思います。

 ご意見ご感想は、気軽にお寄せください。全て目を通しています。すぐにお答えできなくても、今回の記事のように、その後の記事で触れることもたくさんあります。

 

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③ 受講費、教材費、スーパーバイズなどの費用は全て、たくさんの方達へのたのしい教育の普及、ひとり親家庭など困窮した方たちへの支援に利用されています

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