絵本 おすすめ ヨシタケシンスケ「このあと どうしちゃおう」― 死んでしまう話なのに、なぜこんなに笑えるのか【絵本のおすすめ】

久しぶりに「やられた」と感じた絵本に出会いました。ヨシタケシンスケ『このあと どうしちゃおう』です。1行目からしてただごとではありません。おじいちゃんが亡くなり、部屋を片づけていたら一冊のノートが見つかる。そこに書かれていたのは、死んだあとの予定でした。──読む前に、少しだけ考えてみてください。あなたは、そのノートに何を書きますか?
※ この記事は2016年5月に公開した後、とてもたくさんのお便りをいただきました。それに答える意味も含めて、記事に大幅な加筆をして2026年9月に公開し直したものです

久しぶりに「やられた」と感じた作品に出会いました。沖縄に呼びたい絵本作家の筆頭「ヨシタケシンスケ」の最新作「このあと どうしちゃおう」です。
※実は、あるプロジェクトの企画で一度お願いしたことがあります。作品展でとても忙しい日々だということで、その時は都合が合いませんでした。いつかタイミングがあえばと期待しているところです

やはりヨシタケさんは天才だと思います。

絵本 おすすめ ヨシタケシンスケ「このあと どうしちゃおう」

作品は、絵本にあるまじき始まり方をします。

【問題】この絵本の1行目は、次のどれかです、さて?

ア.「ぼくには ないしょの ノートがある」

イ.「このあいだ おじいちゃんが しんじゃった」

ウ.「にんげんは、いつか しぬんだって」

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「このあいだ おじいちゃんが しんじゃった」

です。

いきなりです。

心の準備をさせてくれません。

 

読み進めていくと、

この始まり方でなければならなかったことが

だんだんわかってきます。

⭐️

🟢 もう一つ、予想を

おじいちゃんの部屋を掃除している時に、

一冊のノートが見つかります。

【問題】そのノートには、何が書いてあったでしょう?

ア.家族への手紙

イ.おじいちゃんの日記

ウ.死んだあとの予定

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死んであとの、予定です。

 

天国はどんなところがいいか?

どんな神様がいてほしいか?

生まれ変わったら何になりたいか?

お墓はどんなデザインにしたいか?

ぜんぶ、絵入りで、それはもう、たのしそうに。

 

画期的展開です。

 

完全なる無神論者の私がノータッチの世界を、

天才ヨシタケシンスケは、笑いをもって駆け抜けてくれました。

すばらしい。

⭐️

ヨシタケシンスケさんは、死をごまかさない。

「おじいちゃんはお星さまになった」

とは書いていません。

しんじゃった、と書いています。

ごまかさずに、そのまま置いた。

その上で、死んでから先を考えることはたのしいことだと示した。

だから笑えるのだと思います。

逃げた笑いではなく、

真正面から見たうえでの笑いです。

⭐️

物語の後半は思いがけない方向へ向かいます。

そこは書かないでおきましょう。

ぜひ、ご自分で確かめてください。

🟢ところで、死んであとのことを、みなさんはどう考えるでしょう。

お墓は、どんな形がいいですか。

残された人に、どうしていてほしいですか。

わたしはすでに答えを書いてあります。

死んであとのことを考える、ということは「いまどう生きていたいか」「周りの人たちとどういう関係でいたいか」を考えることだと思います。

🟢 「子どもに読ませていいのか」と思った方へ

大人はここで身構えます。

死ぬ話ですから、当然です。

でも実際読んであげると、大人が思うほど動揺しないと思います。

子どもが怖がるのは、たいてい「死」そのものではなく

「大人が怖いという感覚で伝えるから」だというのが私の予想です。

恐ろしいことだ、聞いてはいけないことなんだ。

そう学んでしまう方が、ずっとこわい。

この絵本は、

その話題を声に出してよいものにしてくれます。

しかも、笑いながら。

読み聞かせにも向いていると思います。

読み終わったあとに

雑談ができたら、とてもよいと思います。

 

⭐️

 

ただし、一つだけ。

いま、身近な方を亡くされたばかりの方には、

無理におすすめしません。

この本が力を持つのは、

たいてい、少し時間が経ってからです。

本棚に置いておいて、

読みたくなったときに手に取る。

それでいいのだと思います。

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PEALカウンセリング入門@「SNS中毒」

家族のことで相談にくる方がいます。

以前『ひきこもり気味でSNSに没頭している子どものことがとても気になる』ということでPEALカウンセリングを申し込んで来た方がいました。

PEALカウンセリングは、本人以外の対象をどうにかしようという相談をすすめることはありません。
アドラーカウンセリングを一つのベースにしているからです。

とはいえ初めから、そういう冷たいことを伝えるわけではありません。

どういう悩みや課題であっても、それに対して自分がどう動くか、あるいは動かないかということに集約されますから、カウンセリングの中で整理させていくことになります。
(ノープロブレム)

 さてカウンセリングで個人情報的なことをだすわけにはいきませんから、SNSをめぐる〈心の動き〉〈対人関係〉についてお話ししたいと思います。

⭐️

 私が好きな小説家、元パンクロッカーの〈町田康(こう)〉さんが、ある対談で「自分がどうしてSNS発信をするのか」という話していました。

なんで発信するかって言ったらもうたった1つですよね。
僕だって告知以外のことも言ったりするんですよ時々。
Instagramとか、なんかストーリーズとかに写真載せてアホなこと書いたりしてるんですよ。
で別に、何の告知もしてないんですよ。
なんでそんなこ意味ないことすんのかってもう1つです。

寂しいから。

相手なってほしいから、誰かに。

書くっていうのもまそうでやっぱりなんか相手なってほしいんですよ誰かに。

だからそ、相手なってほしくって寂しくなかったら別に発信する必要ないけど、やっぱり寂しい。
だから、その隠者になるっていうのはその孤独に耐えるってことですね。
昔は(SNSとか)そんなないから、寂しいやつはずっと寂しかった。

『あ、寂しい、寂しい、寂しい』て『寂しい』って書いてした、なんか日暮らし硯に向かいてなんか書いたんでしょ…

とても考えさせられる考察です。

もう一人、大好きな作家〈燃え殻〉さんがSNSについて語った言葉が『明けないで夜』というエッセイ集に収録されています。

友人が起業して成功を納め、ポルシェを買ったと聞いた。買ったポルシェの写真をスマートフォンの待ち受けにして、SNSのアイコンにして、年賀状にもしていた。

そして隙あらば「ポルシェ、乗る?」と聞いてくる。最近、都内のタワーマンション最上階に住み始めたらしい。

その友人のSNSは、最上階からの景色かポルシェ、予約が取れない鮨屋の写真しかほぼあがっていない。

友人の幸せは、他人からの「いいね!」があって、初めて成立する幸せに見えた。

さて、たのラボもSNS発信することがあります。

講座の広報などです。

「寂しいからかなぁ?」

いやいや、そうではないでしょう!

以上、おわり。
でしょうか?

⭐️

少し深いところをみつめてみると
「誰も来てくれなかったら寂しい」
ということは確かにあると思います。

寂しいか寂しくないかで、ものごとを二つに分けることは乱暴なことだとはいえ、確かにそういえないことはないと思います。

『ひきこもり気味で、SNSに没頭している子どものことが気になる』

というその子は、誰かに相手になってほしいということでもあるでしょう。

寂しいから、発信している。

それはとてもまっとうな要求でしょう。

それに対して〈いいね〉を押すという行為は、
「あなたのその発信に心動かされました」という、いちばん短い返事なのです。

寂しいことは、悪いことでも、弱いことでもありません。

そもそも人間は一人で生きていくことはできませんから、ほかの人との結びつきを求めるのはDNAに刻まれたものだといってよいでしょう。

母親が、あるいは父親が、あるいはきょうだいが、もしかするとイトコのおにいちゃんが、気持ちをつなぐ相手になってくれたら、SNS中心の暮らしが少し幅をひろげていくことでしょう。

《たのラボ》が15年続けて証明したことの一つは、

人は誰かと一緒に〈たのしい〉ことをやると、一人より楽しい

ということです。

スマホを取り上げることでもなく、それでいいのかと説得することでもなく。
一緒に、たのしいことをやってみる

うまくいくとは限りません。
すぐに変わるものでもありません。
時間がかかるでしょう。

それでもSNS中心のその子が少しずつ身近な人に心を開いていくとしたら、こんなに嬉しいことはありません。

たとえばおいしいものを作ってみる。
たのしい実験をして、二人で驚いてみる。

〈たのラボ〉の公式サイトにはいろいろなアイディアが刻まれています。

ぜひ何か試してみることをおすすめします。

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「速読」と「ゆっくり読書」@楽しい福祉&教育 の発想法

たのしいブックレビューを楽しみにしています
というお便りをいただきました。

あれこれ紹介したい本があるとはいえ、
最近、パッと本を読んでしまって反省したことがあるので
そのことを書いてみたいと思います。

一時期の速読ブームは過去のものになった感ありです。

「いやいや、速読ブームはまだまだもりあがっているぞ」
ということだとしたら、すみません。
私の勉強不足です。

私は学生時代
速読ブームが始まる前
自分の読書スピードを
あげたことがあります。
きっと、読みたい本に加えて読まなくてはいけない本が
増えていったからだと思います。


その後、深く考えることがあり
読書スピードを落としました。

読書スピードを落とすためにかかったのは
スピードを上げるためにかかった年月より
長くかかりました。


⭐️

 随分前にヨーロッパ旅行をしたことがあります。
海外旅行が初めてだったので
旅行者の観光ツアーに参加しました。

これがエッフェル塔です。
これがモンブランです。
この国はスイスです。
この山には戦闘機が飛び立てるほどのトンネルがあります。
アルプスの少女ハイジはこの山小屋がモデルになっています。

写真をたくさん撮って、それなりに楽しむことができました。

その後、赴任した学校の先生たちで
北海道旅行にいくことになりました。
先輩の先生ツテで旅行社の方がついた旅行でした。

大山
層雲峡
オホーツク
襟裳岬
etc.

たくさんの場所を観てまわりました。

これまでたくさんの旅をしてきた中
ツアーはその二回のみです。

なぜか?

好きなところで立ち止まり
風の心地よさをたっぷり味わう

またいつかこの場所を訪れようと
地図を開いて記録する…

河に降りて水をすくって味わい
冷たく清涼な味わいに感動する

セミの鳴き声に車を停め
木の表皮を眺めながらセミの姿を探し
沖縄のセミたちよりずっと小さいその姿に感動する

あれ、さっき何気なく通過したけど
下眺めたらなんかすごい風景がひろがってるんじゃない?
そう考えて引き返し、車を停めて端っこから覗き込む
切り立った崖の下に田畑と民家が見えて
こういう処で暮らす人たちがいることに強く心打たれる

時間に追われるツアーでは、こういう感動は味わえません。

ツアーで行った層雲峡より
北海道の岬で湯を沸かし
のんびり珈琲をたてて味わった感動は
ずっと強く残っています。

ホテルで食べた一流メニューより
地元の人たちが昼時に通う
街角の食堂のカツ丼が美味しくて
たまたま通りがかったお豆腐屋さんで食べた
寄せ豆腐(ゆし豆腐@おきなわ)の味が
身体に染み入ってきたことは今でも忘れられません。

両方しっかり体験した速読と味わいながらの読書の違いは
それと同じことだと思います。

⭐️

雑誌のタイトルや目次を速読するのはアリでしょう。

心動かされる読書つまり《たのしい教育》として本に親しむなら
ゆっくり味わいましょう。

立ち止まって考える。
時々ペンをとって想いを記しながら
読み進める。

迷子になったら戻って読み返す

それが人間を豊かにしてくれる
本との付き合い方だと思います。

速い方がよいと思ったら車やバイクで
たとえば倉敷街を駆け抜けてみたらよいでしょう。

行ったという記憶は残るし
その時信号待ちで撮った写真をUPすれば
SNSで「いいね」がもらえるでしょう。

大好きな〈もえがらさん〉がいう
「ある人たちの幸せは、周りの人たちの〈いいね〉で成り立っている」
という、その幸せは味わえても
倉敷の街の風や、堀をたゆたう鯉の姿、
そこで過ごす人たちとの会話に心動かされることはありません。

「いいね」で成り立つ幸せ、
「え~、その作品よんだんですか、すごいですね」
で成り立つ幸せと
たとえば写真家 星野道夫の作品に感動して
リュクを背負ってアラスカの山を旅する幸せと
どちらが人生にとって深くかえがたいものか…

速読もゆっくり読書も
本気でしっかり体験してきた私には
はっきりとわかります。

以前書いたと思います。

寺田寅彦の周りにあった雑誌や書籍は、
今私たちの周りにあるものと比べれば
絨毯と針の先ほど大きな違いです。

でも寅彦さんが深く味わったような読書を
私たちはいくでも味わえるのか?

全然違います。

長くなりました。
ここまでにしましょう。
ご意見、ご感想をお待ちしています。

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