植物が世界を動かす 〈楽しいブックレビュー 〉楽しい理科・楽しい社会

 買っておいてずっと読む時間のとれない本がたくさんあります、稲垣栄洋著「世界史を大きく動かした植物/PHP」もその一冊です。

 人の目を引くタイトルでなくては買ってもらえないので、誇張気味になるのはしかたないとしても、そもそも植物が世界を動かすことがあるのでしょうか?

 みなさんはどう思いますか?

 そもそも植物が消えたら、シアノバクテリアなど極端な環境下でも生きていける古細菌など一部のものを除いて生物のほとんどは死滅するでしょう。

 ただしそれは植物が優れているということでもありません、逆に動物が地球から消えたらほとんどの植物も滅びてしまいます。植物に必要な酸素Oをくれるものがなくなってしまうわけですから。

 動物も植物も菌類も循環して生命を成り立たせているんです。

 世界史を変えるくらいの力は動物も植物も菌類も持っているといって良いでしょう。

 では、ある種類の植物が世界の歴史を動かした、ということはあるでしょうか。

 あります。

 たとえば東インド会社(イギリス・オランダ)は〈コショウ〉で巨万の富を手に入れ、その経済力と軍事力を背景に、実際に政治を動かす力を持つようになったと言われています、その意味でコショウという植物が世界を大きく変えるものになったともいえるでしょう。この本「世界史を大きく動かした植物」にも一章とって書かれています。

ウィキペディアより

みなさんは、世界史を大きく動かした植物をあげるとすると、他にどういうものが浮かんできますか?

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 本の中には〈コショウ〉の他に「小麦」「イネ」「唐辛子」「ジャガイモ」「トマト」「ワタ」「茶」「サトウキビ」「大豆」「タマネギ」「チューリップ」「とうもろこし」「さくら」が章をさいてまとめられています。

 個人的には〈トマト〉や〈さくら〉が世界史を大きく変えた、というのが腑に落ちないのですけと、それはそれとして、実はこの本の「サトウキビ」の章を読むためだけに買っておいた本です。

 板倉聖宣先生が元気な頃「きゆなさんは沖縄で暮らしているんだから、みんながサトウキビのことをたのしく学ぶことができる授業書を作ってよ」という宿題を残してくれました。

 そのための一冊です。

 著作に没頭できる環境をそろそろ整えていきたいと考え始めています。

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楽しい国語/万葉集『あかねさす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る』額田王の歌について考える

 私にとっては、ごく普通の結論なのですけど、先日ラジオの教育番組を聞いていたら、私が学校で教えられた古典の授業そのままだったので、このサイトに書かせていただきます。

 みなさんは額田王(ぬかたの おおきみ)という人物をご存知でしょうか、もちろん、教科書レベルの知識で結構です。

 この人が作った歌が万葉集に何作も載っています、有名なのが

あかねさす紫野(むらさきの)行き標野 (しめの) 行き野守 (のもり) は見ずや君が袖(そで)振る

 万葉・一・二〇・額田王(ぬかたのおおきみ)

でしょう。

 昔に遡るほど、戦略的な結婚なども多く、ぐちゃぐちゃな婚姻関係が目につきます。ここでも権力者が誰それで、という様な解説がほとんどなのですけど、そういうところはあえてとばして歌の意味を紹介しましょう。

 権力者に寵愛されている額田王に、かつて婚姻関係にあった男性が袖を振っています。それを目にした額田王は「家来たちに見られたらどうするのよ」とうろたえている、というのがこの歌なのだと、古典の授業を記憶している皆さんは、教わったと思います。

 最近私が聞いたラジオでも同じ様な解説をしていました、〈袖を振る〉というのは恋心を伝える風習であったという解説もしていました、本当かなぁ、それはそれとして、歌の解説・解釈、おかしくないですか?

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 万葉集について少し説明させてくださいね。

 万葉集には複数の天皇や皇族によって詠まれた和歌も含まれています。貴族社会の文化的な活動や政治的なコミュニケーションの手段としても重要視されていて、天皇を含む当時の貴族が教養の一つとして親しんでいたのは間違いないでしょう。

 とすると、さっきの歌はおかしくないですか?

 ・・・

 なんでたくさんの貴族が読む様なものに乗るほどの和歌ですよね、「家来たちが見たらどうするのよ」という様なレベルではありません。

 知られたらどうしよう、とうろたえる様なシチュエーションの歌ではなく、これは遊びとして、あるいはフィクションとして作ったものだしか思えません。

 そういう和歌は、この額田王だけでなく、たくさんの人たちが残したことでしょう。

 研究者や学者たちの解釈が教科書に反映されていきます、そういう中でアマチュアの目、つまりごく普通に人間の感覚を大切にしてみていくことで、新しい世界も開けていくと思います。

 たのしい教育は、ごく普通の人たちが腑におちる様に、感動できるようにすすめていく教育です。
 私いっきゅうは〈枕草子〉と〈徒然草〉が好きで、時々触れています。
 沖縄の〈島言葉〉をたのしくとりあげている様に、そういう古典文学の中に残された、心動かされる感覚・感動を伝えるプログラムも作ってみたいと考えています。

 

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楽しいアウトドア〈生き物たちの星〉/小林久先生との会話から- コシブトハナバチ・ホシホウジャク・オオスカシバ生き物たちの星〈平林久先生との会話から〉①-楽しいアウトドア

 たのしい教育研究所から外に少し出ると、フィールドにたくさんの生き物たちが動き回っています。以前、ブラックホール研究の第一人者〈平林久〉先生をお招きして一緒に授業を担当したことがあり、二日間たっぷりお話しする機会があって贅沢な時を過ごしました。

1943年長野県生まれ。東京大学理学部物理学科(天文コース)、同大学大学院博士課程修了。 理学博士。国立天文台(もとの東京天文台)で野辺山電波天文台建設計画にかかわり、野辺山の自然に抱かれて研究生活を送る。1997年に打ち上げられた電波天文衛星「はるか」のプロジェクトの推進のために1988年に宇宙科学研究所に移り、スペースVLBI計画(VSOP計画)の科学主任、プロジェクト主任を歴任し、成功に導いた。2007年JAXA宇宙科学研究本部を退職、引き続きJAXA宇宙教育センターにおいて、宇宙教育プロジェクトチームに属する。主著に『宇宙のわかる本』(広済堂出版)『宇宙人の条件』(PHP出版)『星と生き物たちの宇宙』(集英社、共著)など。 JAXAサイトより https://iss.jaxa.jp/utiliz/renshi/message_pop06.html

 平林先生は剣道六段、私は琉球空手の修行をしているので、まずその面での話が弾み、宇宙についてもいろいろなお話しをすることができました。
 私が尊敬しているカール・セーガンをはじめ、かなり以前からたくさんの人たちが〈他の星に生命の痕跡をみつける〉ことに力を入れていて、平林先生にもその話をふってみました。

「きゆなさん、この地球一つですら、様々な進化の過程でこんなにも生命にあふれているんだから、他の星に生まれていないというのは考えられないでしょ。数え切れない星々の中で、この地球だけに生まれたという方がおかしいよね」

それが平林先生の答えでした。こんなにあっさり言い切った方は始めてです、さすが武道家。

 あわせて「これは最近出した本です」と新書を贈呈してくださいました、今でも大切にしています。

 多様な生き物をみると時々、平林先生のことを思い出します。

 今でさえ、私たちが認識できないウィルスレベルのシンプルな生物が誕生しているでしょう。そのほとんどは他の生物に捕食されたり命を閉じていく、わずかに周りの環境に適したものたちが生命をつないでいく。

 その流れが何十億年と続き、この星にはいろいろな生物が乱舞しています。

 最近見つけた生き物を紹介しましょう。

 これは以前紹介した、ホシホウジャク、スズメガの仲間です。

これはアオスジコシブトハナバチ、気に入りの画像をたくさん撮ることができるようになりました。

つづく

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楽しい文筆暮らし/文字変換で笑ったり学んだり@「灯台下暗し」の灯台は本当に〈室内灯〉のことか? 楽しい国語(その1)

 私の一日の暮らしの中で〈文筆〉している時間は少なくありません。これだけ書いていると、時にパソコンの文章変換機能で笑い出してしまうことがあります。今週の〈たのしい教育メールマガジン〉の映画の章で現在公開中の《SISU/シス》を取り上げた時のこと

一人の退役軍人がツルハシ一本でナチスの戦車部隊に立ち向かう

と書いたら、文字変換が

一人の退役軍人がツルハシ一本でナチスの洗車部隊に立ち向かう

となっていて、そのシーンを思い浮かべて笑ってしまいました。
相手はブラシとか水ホースとかなら勝てそう。

 このうちに文字変換などにもAIが力を発揮して的確な候補を提供してくれるだろうから、こういう笑いはは過去のものになっていくのでしょう。

 「灯台下暗し」という言葉があります。

「〈灯台〉は周りを照らすけれど、足もとは暗い、つまり自分の周りのことはよく分かっても、身近なところは見えない、見落としてしまうことがある」ということわざです。ほんの目の前、足元に答えや解決のキーがあるのに、それに気がつかないで遠くを探すような状態をいいます。

 ある日、友人が『灯台下暗し/とうだい もと くらし』の〈灯台〉は岬の灯台(ライトハウス)ではなくて「家の中で炎を灯していた台のことだ」と話していて、「え、そなの?」といいつつ、この話は何年か毎に「え、そなの?」を繰り返していることに気づきました。


 で、また「え、そなの?」を繰り返さないように調べてみることにしましょう、腑に落ちるようになれば、記憶にしっかり刻まれるでしょう。

 みなさんはどう思いますか?

〈灯台下暗し〉は

ア.岬に立つ灯台の足元は暗いということ

イ.部屋のあかりを灯すものを〈灯台〉といって、その足元が暗いということ

ウ.その他

どうしてそう思いましたか?

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 それが正しいのか正しくないのかは、予想を立てて確かめていく過程が大切です。

 いやいや、資料を読めばどれが正しいのかわかるじゃない!

 そうでしょうか?

 その資料の話を読みながら私のように「本当かなぁ、〈両方とも正しい〉ってこともあるかもしれないし」と感じていたら、結局、頭にしっかり刻まれないことになるでしょう。
 また「家に明かりを灯すものは〈あんどん/行燈〉とか〈とうろう/灯籠〉と言っていたはずで、〈とうだい/灯台〉とはいわないのじゃない?」と考えていると、腑に落ちることなく、またいずれ「え、そうなのかなぁ~」を繰り返すことになるでしょう。

 いいチャンスなので、細かく予想を立てながら調べてみることにしましょう。

 まず〈灯台下暗し〉ということわざ(諺)ができたのは、いつの頃かということから調べて、その頃〈岬の灯台/ライトハウス〉が有ったのか、〈家の中で光を灯す灯台があったのか〉で判断できないでしょうか。
 また私のように〈家の中に明かりを灯すものは灯台とは呼ばないのじゃないのか〉という予想を確かめることで、正しい答えにたどりつくかもしれません。

 こういう過程は単純なクイズを解くよりずっとたのしく、価値あることだと思います。

つづく

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