楽しいブック・レビュー@読書案内/科学の本 ジャック・モノー『偶然と必然』

 大学生から嬉しいメールをもらいました、本の紹介・ブックレビューがたのしくてよく開いてくれているとのこと。昨日のアクセス数が1500pvくらいです、その中には大学生もいておかしくないわけですね。以前紹介した教え子は大学院に進むということでしたから、院生も一定数いることでしょう。

「学生時代に読んだ本で心に残っているもの」という質問がありました。

 私は心理学系を主に学んだのですけど、科学も好きでいろいろ読んでいました。その中で苦戦しつつ読んで感動した一冊がジャック・モノー著『偶然と必然』みすず書房1972年 です。
 今でも保存してあるのは間違いないのですけど、探すのは大変です。

 
 ノーベル生物学賞受賞者で、パスツール研究所の所長という肩書きより、本の裏の紹介に惹かれました。

 曰く「左右の思想界から激しい批判と反論を受けている」

「ほぉ、ノーベル賞を受賞して世界に冠たる研究所の所長が〈激しい批判・反論〉を受けるようなものを書くのか、すごいな」
 そう思って、バイトで蓄えたお金で手にした一冊です。

著者はまず、古くして新しい問題、生物とは何かという問題をとり上げ、現代考えられうる最も科学的・客観的な方法でこれにアプローチしようとする。そして、コンピューターによる何重かのふるい分けの思考実験から、生物の特徴は不変の再生、合目的的な活動にあるという結論に到達する。さらに、著者も偉大な開拓者の一人である現代生物学の立場に立って考察を進め、これらの特性がそれぞれ、核酸とタンパク質に顕現されていることを、遺伝情報の複製・伝達、種々の酵素の驚嘆すべき整然たる構造・機能の説明によって示している。

だが、機械的ともいえるような保守的な合目的的なプロセスのなかに、進化はどのようにして根を下して、新しいイノヴェイティヴなもの、創造的なものを生物圏に送りだすのであろうか。進化の要因は、不変な情報が微視的な偶然による擾乱を受けることにある。このように偶然に発した情報は、合目的的な機構により、あるいは取入れられ、あるいは拒否され、さらに忠実に再生・翻訳され、その後、巨視的な自然の選択を経て必然のものとなる。

このような中心思想に立って、教授は生物のうちで最も特異なもの、約五十万年の昔から思考力の進化を推し進めてきた人類に関する重大な問題に、大胆な、挑戦的な試論を展開する。随所で、ギリシャ以来の多くの有名な思想、特に現代に影響力をもつへーゲル、マルクス、ベルクソン、テイヤールなどの思想が俎上にのせられ、生気説、物活説の宣告のもとに退けられている。

したがって本書は刊行以来、広く一般の反響を呼び、左右の思想界から激しい批判と反論を受けている。本訳書がわが国の広い読者層に読まれ、また専門の方々の鋭い批判の起ることを願うものである。

 読むにはなかなか骨が折れたのだけど「生物はある目的に従って進化しているのではなく〈突然変異という偶然〉と〈生物・物理の法則という必然〉に従うプロセスなんだ」ということで、神の意思とか設計者の存在を明確に否定する論調に、清々しさを感じました。
 モノーは明確なる原子論者です。

 自由意志があるのかないのか、というところは残念ながら私の力では読み取ることができませんでした。
 本が見つかったら、挑戦してみたいと思います。
 今なら、しっかり読み取ることができるでしょう。

 読み取ることに苦労したというのは、おそらく翻訳がうまくなかったのだろうと思います。
 英文のテキストがあったら、いつか翻訳できるといいな。

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楽しい環境学習@裏技「砂の利用」/アウトドアの魅力を教えてくれた本『冒険手帳』21世紀ブックス

 前に紹介した『冒険手帳』から、私が今もキャンプなどで活用している技の一つを紹介します。

 キャンプをしている時、川やキャンプ場などで洗剤をけっこうたくさん使って食器などを洗っている人たちをみかけます。

 環境保全のためには、使う洗剤が少ないに越したことはありません。
 とはいえ、汚れや雑菌が残っていたら困ります。

 中学の頃からスタートした私のキャンプ生活で重宝していたのが、この本の一項『泥は自然の石鹸である』に紹介されていた技です。

 

 泥を探すのは簡単ではない上に、色がつくことも気になるので私ははじめから「砂」を利用しています。
 川や海でキャンプするなら砂だらけですね。

 それを手のひらに軽くのせるくらい(赤ちゃんの拳くらいのイメージ)とって、フライパンやナベなどに入れてください。
 驚くほど、油や汚れを落としてくれます。

 砂や土は自然のヤスリです。その洗浄・汚れ除去能力はすごいので、逆に〈あまり強くこすらないように〉注意しなくてはいけません。
 

 あらかたの汚れをとったあとなら、石けん・洗剤の量は、それこそ1/10くらいの量ですみますよ。

「砂は抵抗がある」という方たちは、川の中、海の中の砂を使ってください、絶えず水で洗浄されているで、とてもクリーンです。

 そういうことは、いずれ教育プランにして広げていきたいと思っています。そういうことを学ぶながら成長すすることも学力向上に欠かせないことだと思っています。

 私を含め、私のキャンプ仲間たちは、アウトドアでそういう洗い方をしてきていて、いまもとても元気です。
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新年早々いろいろな楽しいアイディアが飛び交う@楽しい環境教育・面白環境教育

 〈たの研〉のメンバーはスタバの珈琲が好きで、容器がたくさん集まります。

 楽しい環境教育でアイディアセッションを開いている中で出てきたアイディアの一つがこれです。

100均のイルミネーションライトを入れるだけです。

「欲しい」という声がすぐに上がりました。

 スタバシリーズではすでに10以上のたのしいアイディアが出て、子どもたちにためしてもらって、いろいろな先生に広げようと思っています。

 いずれスタバとコラボして、学校教育に取り入れるたのしいアイディアをたくさん出したいなと思っています。

 スタバの方が見ていたら、ぜひよろしく(´ー`

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〈たの研/たのしい教育研究所〉は悪者探しではなく〈解決の具体的な提案〉をする組織/板倉聖宣の言葉から

〈たの研/たのしい教育研究所〉設立の理念の一つが〈たの研/たのしい教育研究所〉は悪者探しではなく〈解決の具体的な提案をする組織〉にすることです。10年以上経ってもスタッフみんなたのしく元気に過ごしているのは、その方針がとてもうまくいているからです。

 1999年8月に埼玉会館で板倉聖宣先生(たのしい教育研究所 初期から支援者/仮説実験授業研究会初代代表/元文科省教育研究所室長/元日本科学史学会会長ほか)がこう語っています。伊良波さんからの元資料をいっきゅう編集版でお届けします。

写真は「沖縄 冬の大会」での板倉先生 2010

 『たのしい授業』が出る10年ぐらい前に,私は数学教育の遠山啓さんたちと一緒に雑誌『ひと』の編集委員をやっていました。
『ひと』創刊の一番のうたい文句は,「この教育雑誌はもし悪い教育があったとしても,その教育を告発することはしない。具体的にこうやればよくなる,たのしくなるという代替のプランなしには反対をしない」ということを根源にすえたことです。
 正確にいうと,そういう条件で私は編集委員を引き受け,実際にその方向でやっりました。
 雑誌というは下手をすれば「学校の先生はこんなことをしていてけしからん」とか「こうすべきだのに、それをしないのはけしからん」というように告発をすることになってしまいます。
「こうすべきである」という具体的で明確に出来るものがあればいいのですが,抽象的で出来そうもないことばかり書けば学校の先生は困りますね。

 私は「学校の先生の味方になりたい。学校の先生はけしからんという記事ばかりが出てきても,日本の教育は良くならない。教育が良くなるためには学校の先生の授業が大切なのだから、学校の先生が主体になるような雑誌を作りたい。そういうのであれば協力します」ということだったのです。

 当時出ていた教育雑誌は文章が悪くてほとんど読むに耐えないものでした。例えば〈この〉とか〈その〉が何に係っているのかもわからないような文章があったりするんです。読みながら入学試験問題を解いているようなのは嫌ですね。

「学校の先生は大学まで出ているのだから、こういうことはわかっていて当然である」というような論調もありました。
 だから私はだれでも読めるような雑誌にしようと考えました。

「学校の先生の悪口を書いて欲しい,文部省の悪口を書いて欲しい,教科書の悪口を書いて欲しい」ということになって、実際、告発すると短期間はよく売れるのです。

 でもそういう記事は載せない,新聞記者には原稿を書かせないということでやっていました。

 

『たのしい授業』は,あまり新聞社の受けはよくありません。新聞社の同情を引く形では展開しないからです。お母さん方の悪口を言ったり,文部省の悪口を言ったり,いろんな人の悪口を言えば,新聞と路線を同じくすることも出来ますけれど,私どもはそうは考えないのです。

 

 教育の雑誌は「実際にこうすればいい」という具体的な提案がないとダメです。
 とはいっても何をどうすればそうなるのかわからないようなものを提案したって、何も言ったことにはならないのと同じです。

 私どもは幸いにして,「こうすればいい」ということを,仮説実験授業とか,キミ子方式とか,その他で具体的な教材を作ることで確保できました。
 具体的な提案が出来るようになったから,雑誌『たのしい授業』が出来るようになったのです。

 私はそこまで手を広げるゆとりがないので良く知らないのですけど、SNS等では誹謗中傷にあふれているという話をよく耳にします。

 たのしい教育研究所は〈悪いもの探しや告発・誹謗・中傷〉をせず「こうするとたのしくなりますよ」「先生・お母さんは味方だって感じてくれる子どもたちも増えてきますよ」という具体的なプログラムを提唱しています。

 そうしているうちに行政の方からの相談も来るようになりました、校長先生たちもアイディアが欲しいと相談してくれます。
 某教育行政の組織を率いていた方は
「教育は学校や行政だけでは無理です。〈たの研/たのしい教育研究所〉のような組織がとても大切だと思います」と熱く語ってくれました。

 地域で子育て活動をがんばっている人たちや、学校で子どもたちの教育に真剣に取り組んでいる先生たち、お母さんお父さんなど、いろいろな人たちからの相談もやってきます。

 このサイトの読者のみなさんも、きっとそのことに惹かれてくれているのではないでしょうか。これからもその流れで〈犀(さい)の角〉のようにすすんでいきたいと思います。
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