「人間でなくなる・・・」@たのしい教育の平和論

 たのしい教育研究所(RIDE)の新しいプロジェクトの中でいろいろなタイプの学校づくりの構想がすすんでいます。プロジェクトには私のような授業実践家たちだけでなく、つい先ごろまで校長をしていたA先生もいます、教頭をしていたB先生もいます、栄養士もいます。もちろん学校でバリバリに活躍中の先生たちもいます。

「たのしい教育」の発想でわたしたちが学校を創るとしたら、どういうものができるか?

 すでに、抽象的な段階を過ぎて、具体的なプログラムづくりにすすんでいます。
 年間計画の案を作成してくれたA先生が「六月には平和プログラムを組みたい」と提案してくれました。

 明らかに危険だと思うものは別にして、〈たの研〉では新しい提案には賛成するスタンスです、「実験してみなければわからない」という認識論があるからです。A先生の提案は、どの学校でもやっていることなので、目新しいものではないのですけど、大賛成です。

 たのしい教育と平和学習は両立するのか?
 もちろんです。

 たのしい教育は面白しろおかしい教育でも、奇を衒(てら)ったものでもありません。たくさんの人たちの笑顔と可能性を伸ばすのがたのしい教育です。平和な世の中をつくろうということは、たのしい教育の大切で大きなテーマです。

 石川文洋(ぶんよう)という写真家をご存知でしょうか。沖縄の首里出身で、名物「の まんじゅう」をつくっている店の長男の息子として生をうけました。
 文筆家 開高健(たけし)と一緒にベトナム戦争を報じた写真家で、 『戦場カメラマン』などの名著を数々世に出しています。

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 先日、琉球朝日放送(QAB)の「戦場ジャーナリストのエンディングノート」という番組をみました。※30日(日)深夜2時に再放送があります、おすすめします

 強く心うたれる内容でした。

 石川さんはベトナム戦争当時、従軍カメラマンとして戦場でシャッターを切りました。それらの写真が〈平和の尊さ〉につながるものだといえるでしょう。実際、ベトナム政府が石川さんに、功労賞を授与しています。

 これは実弾あたった近くの草の葉が目の前に落ちてくるような中、身を潜めてシャッターチャンスを待っている時だと語っていました、死と生のすれすれの中を生き抜いてきたわけです。。

 石川さんが番組の中で語っていたのが『普通の人が人間でなくなる、人間でなくしてしまうのが〈戦争〉なんだ』ということです。

 『ぬちどぅ たから/命が宝物なんだ』という沖縄の言葉も講演の中で引用していました。

 では、私たちはどうしたらよいのか?

 戦争の悲惨な現実を知り、元気に、平和に生きていく。
 弱い立場の人たちも元気な人たも、自分の可能性を伸ばし、未来に夢をもつ。

 そういう社会を作ることができる、それがたのしい教育です。

 子どもたちに、元気になる平和教育を実施していきたいと考えています。

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夏の講座 早めの募集がスタートしました「自由研究で楽しく仲良く」初めての方大歓迎

2024年 夏休み
大人気 たのしい教育研究所
探究の冒険者たちぼしゅう!
自由研究で子どもも親も先生もたのしく仲よく

いよいよ夏休み!
 大人気の《たのしい教育研究所》が今年もたのしい自由研究ワークショップを開催します。前回はすぐに席がうまり、急遽人数をふやしましたが、それでも参加できない方たちが出てしまいました。受講をきっかけに「予想して確かめることが大好きになりました」「親子で参加して仲良くなりました」という声が届くなど参加者満足度99.9%の講座です。
 もちろん初参加者大歓迎です。
《たの研》のプログラムは普通学級や特支学級ほかいろいろな場面で活用できますから、先生は2学期の授業で子どもたちの笑顔を増やし賢さを高めるプログラムを学ぶことができます。親子でたのしい時間を過ごすのもOK、親が参加して後で子どもに伝えるのもOK、子どもたちが夏休みの自由研究のテーマとして提出できるように《まとめ方》もいっしょに紹介します。「たのしく学んだ経験がない」という方も大歓迎です。持ち帰ってそのまま利用できる《おみやげ教材》も毎回人気です。物価高に対抗して参加費を下げ、《親子割引》に加えて《友だち割引》も設定しました。
 講義ではなく体験型なので少数開催です、興味のある方は早めに席をおさえてください。
 
   予定プログラム  ※たのしい教育のエキスパートが担当します
A いっきゅう先生のたのしくサイエンス(自由研究)
B 自由研究ワークショップ(以下のプログラムから3つ選んで楽しむ)
   ① しょうとつ実験で自由研究 ②生きもの系の自由研究 ③ ものづくり系の自由研究
 ④ 化学系の自由研究 ⑤ 静電気の自由研究  ※さらにたのしい内容に進化する可能性あり
C 自由研究につながるたのしい読書案内
D たのしいゲーム など
 
講師代表
いっきゅう先生(喜友名 一) たのしい教育の第一人者。日本だけでなく海外でもたのしい授業を実施。米NASA公式センター開催の「宇宙探査教育者会議」では初の日本人教師代表として世界各国の参加者に授業を実施し高い評価をうける。若田宇宙飛行士、古川宇宙飛行士とのジョイント授業などでも大好評を博す☆小学校教師を早期退職し「たのしい教育研究所」を設立。教師、管理職、学童の支援員などいろいろな方達を指導。カウンセラーとしても活躍 ☆本格的なアウトドア派で、琉球空手7段 ほか多彩に活躍。

 
期日2024年 8月11日(日) 9:15受付  9:30〜12:45
会場: うるま市「うるみん」3F (あげな十字路近く)
募集:30人程度
対象:個人、親子(小学生以上/親類や知人の子との参加可能) ・教育関係者  ・たのしい教育に興味関心のある方
参加費(みやげ教材込み) ※昨今の価格高騰を鑑み参加費を下げて実施
 一般2400円・RIDE会員2200円・中高生1400円(小学生のみの参加はできません)
 親子割(親1子1 小学生可)3200円 ※子ども一人増+1000円  友達割(大人2) 4200円
 ★早割り:7/29(月)19:00まで  一般 2200円・RIDE会員 2000円・中高生1200円
 親子割(2名)3000円 ※子ども1人増+800円 ※会員+子ども=2800円
 友達割2人 4000円(会員1800円+友人2000円=3800円)
 
持ち物など:筆記用具、飲み物、教材持ち帰り用の袋類
 
★ お問合せ 090-1081-7842 (平日 18:00まで)
★ 申込み  ①URL→ https://forms.gle/DCFoRc3VChncZ1yQA
 ②QRコードから ⇩
 
       
 ③メールから ⇨  office@tanoken.com 件名に「2024夏の講座」と書き 1名ずつ
 (1)名前 (2)所属(学校学年・会社・団体など) (3) 電話番号(急ぎの連絡に利用)   
 (4) RIDE会員か会員でないか(週1回メルマガ が届く方は会員)を明記して申し込みください ※申込み後3日程度で事務局からメールが届きます、届かない場合はお電話ください。

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楽しい教育の発想法@板倉聖宣「この教育の曲がり角は、いつからの曲がり角なのか?」月刊『たのしい授業』②

 前回からの続き

はじめての大きな曲がり角
この問題を解くカギは、曲がり角といわれるものが「いつからの〈曲がり角〉なのか」というところにあるように思います。

の後の話です。

 今から40年くらい前、「月刊たのしい授業」が創刊された当時の内容からです。

 今も発行されています、興味のある方は手にしてみませんか⇨ https://amzn.to/4cmHpH0https://amzn.to/4epAXkm

はじめての大きな曲がり角
 この問題を解くカギは、曲がり角といわれるものが「いつからの〈曲がり角〉なのか」というところにあるように思います。

 組合の集会などでは「敗戦後最初の大きな曲がり角である」というようなことがよくいわれるようですが、私の意見は違います。
 私も「曲がり角」であることは認めますが、それは「明治以来、日本で近代的な学校教育が始まって以来の最初の大きな曲がり角だ」と考えているのです。
 敗戦のとき〈天皇制教育がなくなった〉とか〈民主教育が始まった〉とかして、かなり曲がったともいえますが、私は「大きく曲がろうとしたが、結局曲がらなかった」と思うのです。
 明治末から大正期にだって〈自由教育〉というのが起こって変わったといえば変わったのですが、これも敗戦後の曲がり方と同じような意味で、変わり方が小さいのです。現在の曲がり角は、明治初期の大転換に匹敵するものだと思うのです。
 明治の初めには「欧米の先進文化を全面的に学びとる」という方針で、大転換が行なわれました。民主主義も学んだし、専制主義も学んだんです。これは外国にも例を見ないほど徹底したもので、そのパターンは以後ずっと続いてきました。
 そのための弊害も生じましたが「知識が大衆のものになった」ということはハッキリしています。
 知識人だけが学ぶならドイツ語でもフランス語でも英語でも学べるんですが、「全面的に学ぶ」というときには大衆が学べるようにしなければならないし、そうしてきたわけです。
 たとえば東南アジアの人が日本に留学して日本の大学の研究室にならんでいる本を見てまず驚くのは「これ、みんな日本語の本ですか」ということです。
 東南アジアの国々で少し専門的な勉強をしようと思ったら、みんな英語かなんかの本を読まなければならない。知識人と大衆が分離しているのです。
 日本の知識人というのは外国の本も読むでしょうが、たいてい翻訳されてますから日本語で読めるんです。
 今翻訳されていなくても、いい本なら、ちょっと待ってれば日本語に訳されて出ます。
 それは大衆も読もうと思えば読めるのですから、大衆と知識人といっても連続的です。
 これは明治の、一種の理想主義の成果だと思います。
 ただ、これほど急速にその成果をあげられたのは「いいものは外国にある」「外国のいいものを学べば「いいのだ」という徹底した考え方があったからでです。
 それは大正期の自由教育の時代にも変わらなかったし、敗戦後の教育改革でも変わりませんでした。

 ところがしばらく前から、とうとう日本が外国に追いついてきちゃって、どこを見まわしても「全面的に学べばよい」というような対象がなくななってきました。
 昔は、人によって理想の国がちがってましたから、イギリスなりフランス、アメリカ、ソ連、スイス、スウェーデン、西独、中国、など、いろいろな「理想の国」がありました。ところがいまはどこを見ても、部分的にはともかく、「全面的に学ばなければならない」というものがなくなってきているでしょう。
「あっちの方がいいに決まってる」ということがなくなったのです。
 これまでは、その時代の若い人たちはいつも「すでにある社会、文化、生産というものを超えたもの」を、単なる夢ではなく、どこかの国で実現されているものを日本に移し植えようとしてがんばってきたんです。
「それを学びとれば、必ず日本の社会がよくなる」という明るい展望がもてました。
 そうすることで確実に「自分のやっていることが日本のみんなの役に立つ」と考えることができたんです。

 日本が外国に追いついて、それができなくなったらどうなるか?
 年輩の人たちは「過去いつでもどこかに目標とするものがあったのだから、今でもどこか外にあるのじゃないか」という気でいますが、若い人たちはむしろ敏感に情況を感じとっているのではないかと思います。
 小学生はともかく、中学、高校生になれば、なんとなく「自分は将来どういうことをするのだ」ということを考えるでしょう、そういうことを考えはじめる時期ですね。
 ところが、かつてのおとなたちのような模範がない、ということに気づくわけです。
 それにもかかわらず、おとなたちは相変わらずの価値観を押しつけようとしたり守ろうとしている。
 「子どもの反乱」といわれるものの背景には、こういう情況があるのだと思います。

 

手さぐりで切り拓く時代
 子どもたちが学ぶことを拒否するようなことは、これまでの価値観からすれば悲しむべきことのようでもありますが、しかし日本人が「これまではなぜ学んできたのか」というと「外国に追いつこう」として学んできたのです。
 だから、これまでのような学び方では、これからはダメなんです、学ぶべきお手本がないのですから。
 では、どうしたらいいか?

 ここまでにしておきましょう。

 みなさんなら「これまでのような学び方では、これからはダメなんです、学ぶべきお手本がないのですから・・・」の後になんと続けるでしょう、考えてみませんか?

 その答えは、このサイトにたくさんちらばめられています。

 興味のある方は、さかのぼって読んでみてください。

 

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楽しい教育の発想法@板倉聖宣「この教育の曲がり角は、いつからの曲がり角なのか?」月刊たのしい授業から①

 今からほぼ40年前、板倉聖宣が「せっかく正月なんだらか〈十年先、百年先のこと〉を考えてみよう」と書き始めた話があります。
 長い歴史の流れの中で今の教育を眺めるという意味で、今でも全く古い内容ではありません。
 1984年1月の「月刊たのしい授業」からです。

 今でも古くない話だと思います。それはつまり、日本の教育があいかわらず同じ問題・課題を抱えたままだということ、あるいはその問題・課題がどんどん膨らんでいるということなのでしょう。

 ものの見方・考え方はあまり必要ない、「ノウハウ」を知りたいんだと考える人がいたとしたらもったいないことです。実践力に〈理論〉が加われば、未知の状況へ対応する力も高まるからです。
 読んでみてください。前半部を校正し「楽しい教育の発想方@板倉聖宣「この教育の曲がり角は、いつからの曲がり角なのか?」と題して二回に分けて紹介します。

 個人的な話を加えさせてください、板倉先生のこの話の3ヶ月後、私は自然豊かな小学校に採用されることになりました、個人的にもエポックとなる年です。

追記:『月刊たのしい授業誌』は私が座右にしていた頃とだいぶ違ってきたようですけど、刊行は続いています。興味のある方は手にしてみてください https://amzn.to/4epAXkm

板倉聖宣 1984.1
 1年にいっぺんぐらいは、十年先、百年先のことなども考えてみるといいのではないかと思います。そんな大風呂敷はふだん考えてもしょうがないのですが、せっかく正月というのがあるのですから少しのんびりと考えていただけるといいと思うのです。
「新年だとかなんだとか、そういう行事にとらわれるのはけしからん」という意見もありますが、私は「行事も行動のキッカケとして大いに活用すればよい」と考えているわけです。

 

曲がり角のむこうは……
 最近いろんな所によばれてお話することが多いのですが、そこに集まる人たちの多くが、教育の未来をきわめて暗いものとしてイメージしているように思われます。
 500人とか1000人といった幅広い人たちの集まる集会にもよばれたりするのですが、そういう所の主催者のあいさつなどを聞いていても「教育は今、重大な曲がり角にきている」と考えられていること、そして「曲がったその先は暗い」という感じをいだいていることがわかります。
 みんなが未来を暗いものとしてしか考えられない時に『たのしい授業』なんていう雑誌を出したりするのは馬鹿みたいに思われたりもするでしょうが、しかし「こんな時だからこそ少しは明るい話を聞きたい」という期待もあって、私なんかがよばれるのかもしれません。
 そのせいか「これからの教育」といった題を、しばしば与えられます。
「教育が大きな曲がり角を曲がろうとしている」あるいは「すでに曲がったのかもしれない」ということは、はっきりとではなくとも多くの人が感じていると思います。私もそう思います。しかし多くの人は、「曲がった先が見えない」ということで大きな不安をいだいているように思われます。自分たちが曲がるという心配よりも「子どもたちが曲がらされる」という心配ですね。
 年配の先生たちは「戦後、自分たちが築いてきた民主教育というものが崩されてゆくのではないか」という不安、また若い人も意欲的な人たちは、民主主義の流れを守ろうという気持ちから、同じような不安をもっています。
 そして、現在の不安が深刻なのは〈これまでのような論法では未来を明るく展望することができない〉というところです。いろいろな問題に対して「政治の中枢が悪いのだ。社会全体に問題があるのだ。これらから子どもたちを守るのは、大変だけれどもそれは可能だ。がんばろう」ということで、かろうじて未来に明るさを見出してきました。
 そういう先生も親も「自分たちこそ本当に子どもたちの立場に立っていいことをしてきた」という誇りをもってきたんです。
 ところが最近の情況はちょっと違ってきました。
 子どもたちは、政治や社会に対しての抵抗もあるわけですが、もっと直接的に学校とか先生や親に対して抵抗を示すようになってきた。それが校内暴力とか家庭内暴力とかいわれるものです。
 今まで「いいことをしてきた」と思っていた人々にとって、この問題はショックです。
「それもやっぱり政治や社会のせいだろう」といってもまじめに考えればそれだけではすまない問題だということがわかりますから、それで自信をうしなってしまう人が沢山いるわけです。「どうしていいかわからない」ということになれば、曲がり角の先は一層モヤモヤして、暗いものにならざるを得ないわけです。

 

はじめての大きな曲がり角
 この問題を解くカギは、曲がり角といわれるものが「いつからの〈曲がり角〉なのか」というところにあるように思います。

次回に続く

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